やはりこのドタバタ劇は安倍1強の終わりの始まりになる。
きのう6時から開かれた安倍首相の記者会見を見ながらつくづくそう思った。
混乱の責任を取って安倍首相はお詫びした。
自ら迷走を認めたのだ。
もちろん、それはいつもの、心にもないウソだ。
しかし、私には、本音が混じったウソに聞こえた。
メディアもそう感じたとみえて一斉に書き始めた。
安倍首相を支えて来た麻生、菅、二階らと安倍首相・官邸官僚の間にきしみが出始めたと。
安倍首相はそう簡単に辞めないだろうが、辞め時を考え始めたのではないか。
これからの政治記事は、何かにつけてポスト安倍に話題が集中するだろう。
今度のドタバタ劇で一番恥をかいたのは岸田政調会長だ。
なにしろ、はじめは自分も一律給付を考えていたのに、安倍首相がそういうからといって1世帯30万円の支持に回り、その宣伝役を務めさせられた。その挙句、最後にあっさり梯子を外された。
これ以上のピエロはない。
自民党内の政治力学ではポスト安倍の最右翼なのに、これでは首相の器に非ずと、大きく後退した。
これは石破氏にとって大きなチャンスだ。
首相争いで岸田氏に勝てる可能性が出て来たからではない。
そうではないのだ。
岸田氏と総裁を争ってはいけないのだ。
岸田・石破政権を模索できるチャンスが出て来たと言っているのだ。
岸田氏が評判を落とした今こそ、石破氏は岸田氏に協力し、岸田氏をまず首相にさせて、岸田政権をつくって、権力の中心に入り込むのだ。
私が石破氏ならそう考える。
そしていますぐ岸田氏と二人だけで密かに会う。
そして、次のように持ちかける。
ポスト安倍はあなただ。
私はあなたを支える。
その代わり岸田内閣では私を要職につけて、二人で自民党を国民の為の政党という本来の自民党に立て直そうと。
岸田氏が首相の器でない事は、いまや国民も知っている。
しかし、それは裏を返せば、性格が弱く、ウソをつけない善人ということだ。
権力争いの政治に辟易している国民にとって、安倍首相の対極にある政治家は貴重だ。
しかも彼は、腐っても宏池会の流れを受け継ぐ自民党の本流派閥の看板だ。
そして、何と言っても安倍首相からの禅譲がある。
どんなに失点を重ねても、ポスト安倍の筆頭である事に変わりはない。
いまの石破氏が、そんな岸田氏と今度の総裁選で戦えば勝ち目はない。
それどころか二度と首相になるチャンスは来ない。
だからここは岸田首相を支えるのだ。
岸田氏を安倍首相から奪うのだ。
それを言い出すタイミングは岸田氏が失意にある今だ。
すなわち、私が石破氏なら二人だけの密談でこう持ち掛ける。
私になくてあなたにあるのは、安倍禅譲という自民党内の票だ。
あなたになくて私にあるのは国民的支持だ。
あなたがポスト安倍の首相になって、私が支える。
岸田・石破政権で安倍首相が壊した自民党を立て直そう。
そして日本を立て直そうと。
もちろん、いまはそれを絶対に安倍首相に気づかせてはいけない。
そうなれば安倍首相はあなたに禅譲しない。
最後までこれは二人の密約にしよう。
安倍首相を最後までその気にさせて禅譲してもらい、首班指名を受けたら、その後は安倍首相を見限るのだ。
組閣発表で私を重用して国民を驚かせるのだ。
私は今度の総裁選には出ない。
あなたの禅譲を支持する役に回る。
岸田政権をつくり、それを支える、と。
自らの確たる政策があるわけでもなく、従って強引とは程遠い、だから人に敵意を抱かせない、そんな岸田氏がポスト安倍の顔になり、安倍首相と反対の政治を標榜する石破氏がその政策を支える。
ポスト安倍政治として国民が求めているのはそういう政権だ。
つまり、国民監視の政治、国民参加型の政治なのだ。
私が石破氏なら、二人でそういう政治をつくろうと持ち掛ける。
禅譲して、思い通りに岸田政権を差配しようとした安倍首相は岸田氏が石破氏と手を組んだことを知って、「裏切られた!」と激怒するだろう。
しかし、明智光秀に謀反を起こされた時に織田信長が言ったように、安倍首相はこう観念するしかない。
「是非もない」と。
果たして岸田・石破政権が、令和の「麒麟が来る」になるだろうか(了)
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