右翼からも左翼からも、権力側からも反権力側からも、辺野古反対派からも、公明党からも、誰からも、もてはやされ、いまや国民的評論家になったごとくの元外務省分析官の佐藤優氏が、ついに4月12日の産経紙上(世界裏舞台)で言い始めた。
安倍首相の下で団結せとよ。
つまり、いまはコロナ危機と言う非常事態だ。
だから翼賛体制で事に当たらなければいけない。
我が国は民主主義国家だ。
民主的手続きによって選ばれた国民の代表は安倍首相だ。
安倍首相の下で団結せよ。
翼賛を民主主義と対立するという紋切り型の発想から抜け出さなくてはいけない。
こう書いているのだ。
さては産経の読者を意識した迎合記事か。
そうではない。
きのう発売の大衆娯楽週刊誌であるアサヒ芸能(4月23日特大号)の自らのコラム(ニッポン有事)でも、同様の事を書いていた。
危機を脱するために国民が一丸となって安倍首相を支持すべきだと。
野党議員は政争を一時凍結して、感染症対策では、建設的な批判によって政府を支援すべきだと。
日本の国民と国家の危機が迫っている現実を真摯に受け止めるべきだと。
ここまでくれば、もはや完全に安倍政権の太鼓持ちだ。
野党はどうしようもないと言っているのだ。
ところが、安倍政権批判のリーダー格であり、野党共闘による政権交代を望んでいる朝日新聞が出版している週刊アエラの今週号でも、まったく同じ事を書いているのを見つけて、私は驚いた。
よくも朝日はこんな佐藤優氏の安倍擁護の世論誘導を載せるものだ。
さては朝日は隠れ安倍擁護なのか。
そう思って注意深く読んでいくと、安倍首相を支持すべきだとは一言も言っていないことに気づいた。
その代り、佐藤氏はこう書いている。
安倍首相でも誰でもいい。
我々が選んだ首相の下で一致団結せよ。
こう書いているのだ。
朝日の読者向けに、巧みに言い方を変えている。
アエラが載せやすいようにアエラの編集者に気配りをしているのだ。
さすがは国民的評論家、日本を代表する「知の巨人」だけのことはある。
佐藤優氏はいまや日本のオピニオンリーダーなのだ。
ここまで佐藤氏を持ち上げおいて、最後に付言すると、佐藤優氏が安倍首相でなくてもいいと、例示している首相の中に、鳩山由紀夫首相と菅直人首相の名前がある。
とんでもない嫌味だ。
安倍首相と同じように、民主党時代は悪夢だ読者に思い起こさせている。
何のことはない。
佐藤優氏は紛れもない安倍政権支持派であるということだ(了)
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