きょう4月5日の産経新聞が、阿比留瑠比、水内茂幸、長嶋雅子の三人の記者による署名記事で、東京五輪の1年延期の背景について、渾身の特集記事を書いた。
これまでは、森喜朗元総理の発言を中心に断片的に報じてきた朝日だけだったが、はじめて産経が本格的な検証特集記事を書いたのだ。
それを読めば、私の推測が見事に当たっていたことがわかる。
つまり1年延長で決着した背景には、「中止を避けるためにワクチン開発の見通しまで計算した安倍晋三首相の執念と周到な根回しがあった」のである。
ここで「ワクチン開発」と産経が繰り返しているのは、それが安倍首相の森喜朗氏に対する言葉だったからだ。
その時、安倍首相の頭にあったのはワクチンだったに違いない。
しかしいまは違う。
いまはアビガンだ。
アビガンがウィルス退治に有効だと知った時点で、安倍首相の関心はワクチン開発からアビガン使用に完全に移ったに違いない。
ワクチン開発には1年以上かかるが、アビガンは急げば半年で使る、つまり東京五輪に間に合うからだ。
ここまで安倍首相が東京五輪の開催に執念を燃やす理由はなにか。
ずばり東京五輪を自分の手で開催して有終の美を飾りたいと思っていたからだ。
コロナ危機が起こらなければ今年の夏にそれが出来た。
9月の総裁選には出馬せず、その前に辞任して岸田氏に禅譲し、その後の政治に影響力を残す。
これが安倍首相のシナリオだったのだ。
私はそう確信して、そう書いて来た。
ところが、それが狂った。
中止になれば、その時点で政治責任を取って辞めざるを得なくなる。
そうなればすべてが狂う。
辞めた後が惨めなことになる。
あわてた安倍首相は、何があっても東京五輪の中止だけは避けたかった。
延期は短い方がいいが、今年の秋や来年の春では、コロナ危機の収束は無理だ。
2年先では長すぎる。
さすがにそこまでは自分は持たない。
東京五輪は自分の手で出来なくなる。
安倍首相にとって、延期は1年程度しか選択肢はなかったのだ。
示し合わせたかどうかは知らないが、トランプ大統領が「1年間延期した方が良いかもしれない」と言ってくれた。
これを聞いた安倍首相はその時点で決断したのだ。
そしてバッハ会長に持ち掛けたのだ。
バッハ会長にとっても渡りに船だった。
国際世論の批判が高まりつつある中で、「いまのところ変更は考えていない」とは言えなくなった。
だからといって自ら変更を言い出すと、後から生じる負担の責任を負う事になる。
阿吽の呼吸で、あっという間に1年延期が決まったのだ。
こうなれば、安倍首相の頭にあるのは、コロナ危機をそれまでに収束させることしかない。
そしてコロナ危機の収束は、誰もが望む最重要のテーマだ。
これから安倍首相はコロナ危機の克服しか頭になくなる。
そして、今まで以上に、何でも自分で決めようとするだろう。
そして、何があっても来年7月23日からの東京五輪を自分の手で行うつもりだ。
あと1年3か月、安倍政権は続くということである(了)
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