きのう3月1日に産経が一面トップで習近平主席の来日延期を大きく報道したと思ったら、きょう3月2日の各紙が一斉に一面で大きく後追い報道した。
これで習近平主席の4月来日延期が事実上決まったということだ。
国賓の訪日延期が、このような形で、つまりメディアが主導する形で、なし崩し的に発表される事は異例だ。
なぜこんなことになったのか、そしてそれは日中両政府の合意のもとで行われたのか、それとも齟齬があったのか、果たして安倍首相は自らの手で習近平主席を国賓として迎える事ができるのか。
それらを読み解くのがこのメルマガの目的である。
まず今日の各紙が一斉に大きく後追い報道をしたということは、私の読みと違って、きのうの産経の記事は大スクープだったということだ。
しかし、それは産経の手柄というよりも、産経にスクープさせて、その後に各社に一斉に後追い記事を書かせたという、官邸の思惑があったに違いない。
読売ではなく、読売よりもはるかに右翼、反中国の産経にスクープさせたところが中国に対して挑発的だ。
安倍首相は中国に喧嘩を売っているのか。
そうではないだろう。
きょうの報道では、まだ延期は正式には決まっていない、中国と調整だ、そして週内にも正式決定される、となっている。
だから、おそらく日両政府が同時に正式発表することになる。
その事が2月29日の安倍・楊ケッチ会談で確認されたのだ。
正式発表を日中両政府で同時に行うことが確認された以上、日本のメディアが事前にどのような憶測記事を書こうとしても大した問題ではない。
中国と違って日本は管制メディアではない。
スクープを競い合ってあれこれ推測記事を書くことは止められない。
この点、あらかじめ了承しておいてほしいと、事前に楊ケッチに伝えていたとすれば中国側も驚かない。
安倍首相が産経にスクープさせたのは、中国を怒らせるためではなく、産経が安倍首相の習近平国賓招待に一番反対しているから、頭をなでたのではないのいか。
そして、中国側として自分の方から延期を言い出せない事情があったのだ。
先に言い出せば、やはりコロナウィルスはまだ中国にとって深刻だと認める事になる。
むしろ日本の方からコロナウィルスで万全な受け入れ体制が出来ないから延期したいと先に言ってくれれば好都合だったのだ。
中国がそう言ってくれるなら、招待した日本も言い出しやすい。
両方の利害が一致し、日本の方から延期を言い出し中国側が受け入れたという形にしたのだ。
安倍・楊ケッチ会談でそれが話し合われたのだ。
もっとも、日本もコロナウィルスが終わっていないと言う事を強調するわけにはいかない。
だから、コロナウィルスのためではなく、コロナウィルスで十分な準備が出来なかったので延期せざるを得なかった、と言う事にしたいのだ。
延期の正式発表では、国賓来日を成功させるために十分な準備が必要だ、だからその時まで延期すると、日中が口をそろえることになる。
残る、唯一、最大の問題は、延期後のあらたな来日日程はいつになるかだ。
報道によれば、早くても秋以降だという。
おそらくそうだろう。
たとえ東京五輪・パラリンピックが延期・中止されるとしても、だからといって、いったん延期された習近平主席の来日を、早めるわけにはいかない。
再来日は早くても秋以降なのだ。
そしてその頃には安倍首相の寿命は終わっている可能性が高い。
習近平主席の4月来日が延期されれば、安倍首相の手で習近平主席を歓迎することはなくなるということだ。
仲間にこれほど反対されているのだから、それでよかったと安部首相も観念したのだろうか。
それとも、習近平主席の国賓来日延期を口実に、安倍首相は習近平主席を自らの手で迎えるまで、首相を辞めないと言い出すのだろうか。
それこそ本当の冗談になる(了)
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