安倍首相とトランプ大統領による日米首脳会談で日米貿易交渉の最終決着はどうなったのか。
きょうの各紙を見ても、何もわからない。
時差の関係で日米首脳会談の結果が間に合わなかったためだ。
しかし、日米首脳会談の結果を見るまでもない。
すでにシナリオは出来上がっていたからだ。
日米貿易交渉の結果がトランプ大統領の一方的な要求を全面的に飲まされるものになる事は、すでに5月27日のトランプ訪日の時に決まっていた。
あの時、今度は、自分がトランプ大統領の再選に協力する番だ、と約束していたからだ。
それをどう協定にごまかして書くか。
それが、茂木大臣とライトハイザ―米通商代表の間で続けられた交渉だったのだ。
しかし、協定を急ぐトランプ大統領と、いくら再選に協力すると約束したからといっても、農産品も自動車もすべて全面譲歩はできない、とする日本側との間で、協議が長引いたのだ。
そしてついに9月25日の首脳会談までにはまとまらなかった。
しかしまとまった形にしないと、首脳会談でもまとまらなかったとなる。
これではまずい。
そこで思いついたのが共同声明の署名だ。
このごまかしを思いついた茂木大臣が論功行賞で外務大臣に抜擢され、再びライトハイザーと協議して、これで本当に最終合意したと胸を張った。
共同声明には何が書かれているのか。
継続協議になった自動車関税と輸入数量規制についての確認だ。
なぜ数量規制なのか。
関税で合意しても、トランプ大統領は、効果がなければ数量規制を言い出す。
いくら何でも関税と数量規制を同時に要求してくれるな、どうせ要求するならタイミングをずらして欲しい、それを共同声明で確認したのだ。
これを要するに、安倍首相は、自由貿易の原則を一方的に破るトランプ大統領に、全面譲歩したのだ。
そんな不公平な日米貿易協定の最終的が国会に提出されるのは、まだ先だ。
10月4日から始まる国会で野党が追及しようとしても、最終案ができるまで審議は出来ないと安倍政権は逃げる。
そして、最終案が国会に提出されたとたん、まともな審議の時間もないまま、あっという間に承認されることになる。
今度の国会で承認されないなら、日米同盟関係が損なわれる、それでもいいのか。
そういう殺し文句を安倍首相に吐かれたら、それに反対する勇気は、野党にはないからだ。
全面譲歩せざるを得なかった安倍首相だが、いまテレビでうつしだされている記者会見では、見事なウソをついている。
日米は自由貿易の原則を尊重したと。
ウィンウィンの協定であると。
両国の生産者、消費者、雇用、すべてに利益をもたらすものになると。
ちなみにこの記者会見にはトランプ大統領は同席していない。
同席すれば勝手な事を言い出すからだ。
何もかも茶番だ。
果たして明日の朝刊各紙は、日米貿易交渉の結果をどのように解説するつもりだろうか(了)
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編集・発行:天木直人
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