中国が買ってくれなかったトウモロコシを全部日本が買ってくれた。
こう喜んで記者会見で発表したトランプ大統領。
これを見て、誰もが安倍首相はトランプ大統領の再選に加担したと思っただろう。
しかし、なぜトランプ大統領はトウモロコシの輸出にそれほどこだわるのか。
その答えを言える者は少ないに違いない。
きょう9月4日の毎日新聞「水説」で、福本容子論説委員が次のように教えてくれている。
トウモロコシの生産が全米一のアイオア州は、2016年の大統領選でトランプ大統領を支持した州である。
そのアイオワ州のトウモロコシ農家が怒っているという。
その理由は、自分たちより石油業界をトランプ大統領が優遇したからだという。
どういう事か?
実は、アメリカで生産されるトウモロコシのうち、食用は2割に過ぎず、4割が家畜用飼料、残りの4割がガソリンに混ぜて使用されるエタノール燃料用であるという。
アイオア州にいたっては53%がエタノール向けだという。
植物由来の燃料は温暖化対策に役立つという期待から、アメリカではガソリンへの混入が義務付けられ、その割合は年々引き上げられ、いまでは約10%がエタノールとなっているのだ。
農家は、ガソリン混入をあてにして生産していたのだ。
ところが、小規模の石油精製所にとっては混入作業は負担になる。
トランプ大統領は、混入義務の免除を求め、先月には31の製油所が免除リストに加わった。
トウモロコシ業界も石油業界もトランプにとっては大切な票田だ。
だから、その埋め合わせを中国にさせようとした。
穀物価格の低迷や、悪天候の影響で困っていた穀物業界にとって、中国が買ってくれると思って喜んでいたところに、中国の報復関税でその期待がしぼんだ。
いきおい、「トランプ大統領は我々より石油業界の方を優先するのか」と、トランプ大統領に向かう。
この怒りを鎮める手はないものか。
そこで思いついたのが安倍首相だったというわけだ。
見事に全部、中国の肩代わりをしてくれた。
しかも、「国産トウモロコシの害虫被害により、飼料の代替が緊急に必要になった」と国民に嘘までついて。
トランプ大統領が、わざわざ記者会見を開いて、自慢したのも無理はない。
おまけにその時トランプ大統領は安倍首相に促したという。
「あなたの口からトウモロコシのお買い上げを聞けばアメリカの農家はもっと喜ぶ」と。
福本容子論説委員はその記事をこう締めくくっている。
日本はアメリカ大統領選挙にうまく利用されていると。
それを甘受する政府であると。
それを国民がどう考えるかが問題だと。
こんな中途半端な事を書くようでは、せっかくの福本論説委員の記事も画竜点睛を欠く。
福本論説委員にはこう書いてもらいたかった。
税金を使い、嘘をついてまでトランプ大統領の再選に加担した安倍首相。
この記事を読んで国民は怒れ。
立ち上がって安倍退陣を求めるべきだである。
そう書いてほしかったけれど、やはり現職の論説委員の身では無理だろう。
だから私が書くのである(了)
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