イランが公然と核開発に乗り出そうとしている。
無理もない。
トランプ大統領の米国が核合意を一方的に破棄したからだ。
あの核合意とはなんだったのか。
それはイランに核開発を放棄させることではない。
あくまでも核開発を遅らせる、うまくいけば凍結させる程度のものだ。
だから、本気でイランに核を作らせないつもりなら、トランプ大統領やイスラエルが言っていることが正しい。
あんな核合意など、いかさまだったのだと。
しかし、そんないかさまでも、意味はあった。
遅らせることは出来た。
破棄してしまえば、イランの核開発の口実を与える。
そっちの方から破棄するのなら、堂々と核開発を再開すると。
イランがウラン濃縮を公然と進めるのはイランの権利なのだ。
それを止めるには、米国とイスラエルはイランを攻撃するしかない。
しかし、それをやればお終いだ。
いわゆる終末戦争になる。
イスラエルはどうか知らないが、少なくともイランも米国も、そこまでの覚悟は無い。
イランの核濃縮再開はあくまでも交渉材料だ。
イランは制裁緩和を望んでいるのだ。
大統領選を控えたトランプだってそうだ。
だから誰かがイランと米国の仲介をすれば動き出す。
その絶好のポジションにあったのが安倍首相だった。
どうすればよかったか。
イランからの原油輸入の継続をするだけでよかったのだ。
それをトランプに認めさせるだけでよかったのだ。
トウモロコシを買ってやったくらいだからトランプも反対しなかったはずだ。
日本の石油輸入継続がきっかけとなって制裁緩和につながる動きが出てきたかも知れなかった。
もちろんイランはあの時点で日本が石油輸入を継続していたら高く評価したに違いない。
コストパフォーマンスのいい、日本の仲介策になるはずだった。
ところが安倍首相はそれをしなかった。
そしていまフランスのマクロンがイランの原油を担保とした150億ドルの支援を提案したらしい。
もちろん、この提案にトランプの米国がどう反応するかは不明だ。
しかし、北朝鮮の核と同様に、戦争までして核廃絶を求めるリスクを考えると、トランプと言えども妥協する可能性はあると思う。
もちろん、イランは核開発より財政支援を優先する。
かくして、安倍首相の仲介役は、ここでも吹っ飛んでしまう。
もっとも有利な立場にあったはずの日本が、また大きなチャンスを失うことになる。
トランプ大統領に迎合するしか能のない安倍外交は、日本の国益を損なうばかりである(了)
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