突如として新紙幣の発行が発表された。
しかし、実際に新紙幣が発行されるのは5年先だという。
いくら何でも発表は早すぎるだろう。
だからすかさず批判的意見が出て来る。
これは「令和」への改元との相乗効果を狙って、安倍首相が麻生財務相に命じた政治利用だと。
すべての新聞が同様の指摘をしているぐらいだから、おそらくそうなのだろう。
しかし、私が早すぎると思う理由は他にある。
「令和」の時もそうだが、議論する時間を世論に与えたら必ず異論が出るからだ。
そのリスクをあえて犯して5年も先の事を、今、早々と公表したからだ。
案の定、異論が出た。
その異論の中でも、一番深刻なのがきょう4月10日の東京新聞「こちら特報部」が書いた批判だ。
日本軍のアジアにおける行為を批判させたらこの人の右に出る者はいないと思われる明治大学の山田朗教授(日本近現代史)が、渋沢栄一氏についてこう指摘している。
「経済の発展や近代化をもたらした一方で、国家主導の資本主義という形が取られた。具体的には国策会社や軍需産業によって経済が牽引された。安倍政権が思い描く経済政策や国家と経済界の関係と通じるようにも思える」と。
この批評に呼応するかのように、韓国メディアが報じた。
すなわち、きのう9日の聯合ニュースは、渋沢栄一氏を「朝鮮半島を経済侵略した象徴的人物」と報じたのだ。
その評価が正しいかどうかは、今ここでは問わない。
新紙幣が実際に発行されるのは5年も先であるというのに、いま発表した。
しかも、その理由が、政権浮揚のためだと見透かされている。
今後5年のうちに、候補人物に深刻な欠点が出て来たらどうするのだろう。
すべてを自分に都合のいいように考える安倍首相には、そのような懸念は毛頭ないに違いないが(了)
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