「わが国の政治家やマスコミ関係者は北朝鮮情勢の激変に関心が集中していて、イランをめぐりトランプ大統領が行った決断の意味を過小評価している・・・」
こういう書き出しで始まる佐藤優の論評「世界裏舞台」(5月20日産経一面掲載)は、中東情勢の先行きを、北朝鮮情勢以上に危惧するところでは私と全く同じだ。
それどころか、いまこそ中東情勢から目を離すなと警鐘している有識者は、いまの日本では佐藤優くらいしかいない。
その限りでは佐藤優を評価する。
しかし、そこに書かれている事は私の立場と正反対の考えだ。
すなわち、佐藤優はイラン核合意は抜け道だらけでイランの核開発を防げないとして、トランプ大統領の合意からの離脱を評価している。
このままではイランは必ず核開発を進めると断言し、そうなればサウジアラビアの核開発は不可避だという。
なぜならば、サウジアラビアとパキスタンとの間には核支援の秘密協定があり、米国はサウジアラビアの核保有を黙認せざるを得ないという。
そうなれば他の湾岸諸国もエジプトも核保有を目指し、中東の核拡散は必至だという。
だから危険なイランの核開発を、国際社会は包囲網をつくって阻止しなければいけないとしめくくっている。
これはそっくり、そのままイスラエルの言っている事だ。
モサドの代弁者である佐藤優の本当の顔である。
私の立場はその逆である。
公然の秘密となっているイスラエルの非核化こそ問題である。
イスラエルの核を認めさせ、それを国際エネルギーの監視下に置くことだ。
そうした上で中東の非核化を徹底する。
核拡散を恐れるなら、それがテロに渡ることだ。
そしてテロの根源であるパテスチナ問題を公正で永続的な形で解決することだ。
その為には米国・イスラエルが自らの不正義な中東政策を改める事だ。
それこそが中東非核化の最善策である。
国際社会が包囲すべきは米国とイスラエルの不正義な中東政策である。
これが私の立場である。
それにしても佐藤優は面妖な言論人だ。
時と場所と相手を選んで自在に発言を変える。
そんな佐藤優がメディアの寵児になっている日本は危うい(了)
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