きょう9月10日の東京新聞の「こちら特報部」は、北朝鮮の核問題で中国が当惑していることを書いている。
つまり、中東で手いっぱいの米国は米朝軍事衝突の余裕はなく、中国に下駄を預けようとしている。
しかし、北朝鮮はもはや中国の言う事を素直に聞くような国ではなく、中国は当惑してるという記事だ。
しかし、私はその記事の中で引用されている米紙ニューヨーク・タイムズの次の記事に注目した。
それは北朝鮮が9月3日に6度目の核実験を行った直後に書かれた「北朝鮮が中国の台頭を脅かす」という見出しの次のような記事だ。
「中国はアジアで米国に代わる盟主になろうとしている。だが、北朝鮮がある限り、アジアにおける米軍の軍事的支配を日韓が求め、中国の思惑通りにはならない」
これこそが、米国が自国にとって何の脅威にもなっていない北朝鮮のミサイル・核開発を、ことさらに騒ぎ立てる本当の理由だ。
すなわち、一方において北朝鮮に対する中国の政治的、経済的影響力を強調して、北朝鮮に圧力をかける役割を中国に押しつける。
その一方で、対北朝鮮有事に備え米国は日米韓軍事同盟強化を大手を振って進める。
しかし、日米韓軍事同盟の強化は北朝鮮有事に備えるためだけではない。
その裏には、中国に南シナ海進出に対する警戒強化の思惑がある。
もちろん中国はそのような米国の戦略を見抜いている。
だからこそ、韓国に配備された高高度ミサイルに対して、それが中国を監視するものであると言って強硬に反対しているし、南シナ海進出については中国は米国に一歩も譲るつもりはない。
繰り返していう。
北朝鮮の危機は、米国や日本に対する脅威の問題ではない。
米中のアジアにおける軍事覇権をめぐる攻防なのだ。
もちろん北朝鮮は国家の存亡をかけて必死だ。
しかし、北朝鮮の核・ミサイル開発は決して米国や日本、韓国に対する差し迫った現実の脅威ではない。
それはあくまでも北朝鮮の米国に対する体制崩壊の脅しに対するけん制であり、米朝交渉の最後の切り札なのだ。
中国が南シナ海進出を最優先すれば、最後は米国に協力して米朝直接交渉のお膳立てをするに違いない。
その一方で南シナ海問題で中国が米国に譲歩することはなく、南シナ海をめぐる米中対立こそが最大の問題として再び浮上してくるのだ。
日韓両国は目を覚ませ。
アメリカに踊らされて日米韓軍事同盟強化を進めるより歴史認識問題を克服して日韓関係を改善・強化することを最優先すべきである(了)
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