まず、次の文章を黙ってお読みいただきたい。
「・・・仮に米国が軍事行動に踏み切れば、日本が北朝鮮からの報復の対象となりかねない。こうした場合、日本政府は米国に事前協議することを求めているが、『できるだけ軍事行動は避けてほしい』(外務省関係者)というのが本音だ」
この文章は、きょうの読売新聞が、北朝鮮が2回目のICBM発射実験を行った事について書いている記事の最後の部分である。
何という危機感のなさだ。
米国が軍事行動に踏み切れば日本は滅ぶ。
だから、何があっても日本は米国に軍事行動をさせてはいけないのだ。
そう安倍首相はトランプに日本国民の総意として厳命しなければいけない。
それにもかかわらず、日本が米国に伝えている事は事前協議だという。
米国が事前協議をするとでも思っているのだろうか。
米国が事前協議をしてきたら、日本は米国に軍事行動を止めさせるとでもいうのか。
このような記事を平気で書く読売新聞の危機感のなさにあきれ果てる。
しかし、もっとあきれるのはピント外れの安倍外交だ。
最後のくだりの前に、読売新聞が長々と書いている事は、日米韓が連携して中露に対北朝鮮制裁強化を迫るという安倍外交の宣伝だ。
すなわち、菅官房長官が29日の記者会見で中露説得に全力で外交をやっていると強調したと書き、岸田外相が29日、ティラーソン国務長官と電話会談し国連安保理制裁強化に向けた中露への働きかけを確認し、その一方で韓国の康京和外相と北朝鮮への圧力強化の必要性を共有したと書き、谷内正太郎国家安全保障局長が、マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)と電話会談して中露への働きかけを強める事で一致したと書いている。
しかし、その後でこう書いている。
もっとも中国やロシアは北朝鮮に対する厳しい制裁には消極的であるためその効果は限定的だ、と。
何のことない。
安倍外交では北朝鮮の暴走は止められず、その結果、いよいよ米国が軍事行動に踏み切る恐れが高まって来た事を認めている。
そして、その場合、日本が出来ることは、米国にせめて事前協議だけはして欲しいと頼む事しかないというわけだ。
ピント外れの安倍外交と、その結果起きるかもしれない未曽有の不幸に対する危機感のなさ、ここに極まれりである。
事態は極めて深刻である(了)
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