いよいよ今週末の5月14日から北京で一帯一路サミットが開かれる。
それにあわせて、きょう5月12日の読売新聞が2ページにわたる大特集記事を掲載している。
それを読んで、私はあらためてこの現代版シルクロード構想のスケールの大きさに驚嘆した。
習近平国家主席は2013年9月にカザフスタンの大学で講演し、ヨーロッパとアジアをつなぐシルクロード経済ベルト(帯)の共同建設を提唱した。
その翌月には、インドネシアの国会で演説し、南シナ海やインド洋をつなぐ21世紀海上シルクロード(路)構想を提案した。
これが一帯一路構想だ。
私がその読売新聞の記事で注目したのは、習近平は域外国を含めた世界に参加を呼び掛けてきたというところだ。
特に注目したのは日米の参加に熱心だというところだ。
今度の首脳会議には、米国はその出欠を11日の時点でまだ公表していないという。
日本は二階幹事長が安倍首相の親書を携えて出席するという。
なぜ安倍首相はみずから訪中しないのだろう。
恩が売れるのに。
習近平主席との関係が改善するというのに。
あれほど地球儀俯瞰外交を自慢しているというのに。
北朝鮮のミサイル危機の最中でも外遊したというのに。
米国に気兼ねしているとしたら愚かだ。
見ているがいい。
今度の会議に参加しなくても、トランプは必ず豹変する。
中国の覇権主義に手を貸すのはしゃらくさいというのなら、あまりにも狭量だ。
このシルクロード構想は必ず日本経済に活路を与えるものになる。
行きづまったアベノミクスにチャンスを与えてくれる事になる。
中国が進めるインフラプロジェクトの経済的実現可能性(エコノミック・フージビリティ)を疑っているのなら、その心配は不要だ。
いまあの時の記憶がよみがえる。
あれは私が経済協力の担当官として訪中した1978年の事だった。
よく1979年の大平総理訪中を控えて、日本の対中経済援助の打ち合わせをしている時だった。
中国の港湾建設の現場に立って、そのプロジェクトのエコノミック・フージビリティを中国側に確認した時だった。
世銀やIMFが求めるエコノミック・フージビリティ・レポートはあるのかと尋ねた時だった。
返って来た答えは、それはなんですか?だ。
私はプロジェクトが計画通り完成するかどうかを証明する計画書だと説明した。
そうしたら返って来た答えは、目の前の労働者たちを指さして、彼らがその証明だという。
つまり工事が遅れるようなら中国全土から労働者を集めてやらせるから問題ないという。
我々はあきれ果てた。
通常なら援助など出来ない。
しかし首相訪中のお土産だから、あのうるさい大蔵省(財務省)も認めざるを得ない。
結果は、プロジェクトは計画通り完成し、それから40年ほどたって、いまや中国は世界の経済大国に発展した。
まさしく中国は白髪三千丈の国だ。
そんな中国と敵対するのは間違いだ。
中国は日本にとって共存共栄の国だ。
それがわからない安倍首相は愚かである(了)
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