偶然見たNHKの早朝6時からのニュースの冒頭で、1世帯30万円給付からひとり10万円給付に急転した裏にあった政局について詳しく説明し始めた。
思わず引き込まれて聞いたその内容は、一言で言えばこういう事だ。
二階幹事長のひとり10万円給付発言を受けて、山口公明党代表は安倍首相を訪れて迫った。
このままでは内閣支持率は避けられない。かねてから公明党が主張して来たひとり10万円給付に踏み切ってもらいたいと。
安倍首相はその時点では確答を避け、方向性を持って考えたいとひとまず引き取った。
それを聞いた岸田氏は、1世帯30万円にこだわったが、その後ろには、麻生財務大臣の、「絶対に応じるな」という強い反対があった。
最後は安倍首相の決断で公明党の要請を飲む事になる。
そのきっかけは山口代表の電話だった。
公明党の要求が受け入れられないなら、補正予算審議を欠席する。
政権離脱もあり得る。
そうすれば私もあなたも共倒れになると。
やり方は任せるから、決断していただくしかないと。
以上が、私が理解したNHKの解説だ。
おそらくこの解説は、今後何度も繰り返して報道されるだろう。
このNHKの解説は、すでにこれまでに流されて来た解説記事と基本的には同じだ。
しかし、重要な発見が二つある。
ひとつは、1世帯30万円に固執し、最後までひとり10万円給付に反対したのは、麻生財務大臣だったということだ。
麻生大臣こそ財務官僚の代表であり代弁者であり、国民の敵だったということだ。
二つ目は山口公明党代表の、恫喝とも言える不退転の二度目の電話だ。
この二度目の電話が安倍首相に決断を迫ったのだ。
もちろん、その背後には生活に窮した創価学会信者の突き上げがあった。
限りなく違憲の安保法には追従しても、信者の生活を奪う政策には、公明党の存続をかけて譲歩できなかったということだ。
このNHKの報道から今後の政局を占ってみたい。
一番の悪がバレタ麻生財務相は負け頭だ。
そして安倍首相に説得されて受け入れざるを得なかった。
麻生財務大臣は終わりだ。
そんな麻生の言いなりになった岸田は、ますます首相失格さ加減を露呈した。
そして二階幹事長は点を稼いで今後の政局に残るが、菅官房長官は影響力を落とすことになる。
これまでの菅官房長官には考えられないほど、自らの意見が聞こえなかった。姿が見えなかった。
もちろん菅官房長官はまだ安倍政権存続のキーマンだ。
しかし、フリーハンドで動く余地が出て来たということだ。
一番点数を稼いだのは、もちろん公明党の山口代表だ。
それでは安倍首相はどうか。
安倍1強の終わりの始まりだ。
一般的にはそう受け止められているし、私もそう思う。
しかし、すべては安倍首相のやる気次第だ。
麻生財務相を説得して公明党の山口代表の顔を立てた。
これからは、自民党の安倍降ろしより、公明党の山口代表との連携を重視すればいいのだ。
もともと安倍首相は、口では威勢のいい事を言っているが、自分のやりたい政策が、あるようでない。
前回の汚名を挽回するために首相を長く続ければいいのだ。
この際、公明党の要求する、平和と弱者に配慮した政策をどんどん取り入れて行けばいいのだ。
そうすれば支持率は回復する。
巷間ではコロナ危機が収まらなければ辞めざるを得ないという声もあるが、もう少し頑張って見ようかと言う気になってもおかしくない。
そして、野党だ。
野党は本当にもったいないことをした。
大きなチャンスをまたしても逃がした。
もし野党が山口代表のように、ひとり10万円給付が聞き入れられないなら補正予算の審議に応じない、と覚悟を決めていれば、安倍首相は飲まざるを得なかった。
そうすれば、与野党逆転もあり得た。
しかし、野党には、その覚悟も、結束もなかった。
いまとなっては、「もともと野党が主張していた事だ」と言い訳し、「朝令暮改だ」と批判するしかない。
そして、来る補正予算審議では、更なる追加給付を求めて予算審議を遅らせるしかない。
しかし、そんなことをすれば、10万円給付を急ぐ国民からますます嫌われる。
NHKの朝一番の政局報道から見えて来た事。
それは、今度の10万円給付の迷走は、必ずしも安倍首相の失点ばかりではないということだ。
すべては安倍首相の今後の対応次第だ。
そう考えれば、NHKが朝っぱらから、こんな裏話を流す意図がすけて見えるような気がする(了)
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