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習近平訪日延期を共同発表できなかった底の浅い日中関係

 私はてっきり安倍首相と楊ケッチ政治局員の会談後に、習近平国家主席の訪日延期が共同発表されると思っていた。

 習近平国家主席の国賓訪日は日中両国にとって最重要であり、それにふさわしい環境が整うまで延期することが両国の利益になることで一致した、とかなんとか言って。

 ところが、これまでと同様に、何の進展もなく、どうせ無理なことはわかっているのに、どちらも自分から延期を言い出せず、おたがいに相手が先に言い出さないか、腹の探り合いが続いているごとくだ。

 少なくも、今日の各紙の報道を見る限り、そういう報道になっている。

 さてはメディアは安倍政権と口裏を合わせているのか。

 それともメディアの怠慢で、本当のところはメディアも何もつかめていないのか。

 果たして実際はどうなっているのか。

 私は、本当は、楊ケッチ政治局員は安倍首相に会う前の茂木外相、北村国家安全保障局長との会談で、中国として延期はやむを得ないと考えていることを伝え、日本側もそれを了解し、そして、そのことを安倍・楊ケッチ会談で確認したのではないかと思っている。

 そしてその発表はもう少し遅らせようと示し合わせたに違いないと思っている。

 実際のところ、客観情勢はますます習近平主席の国賓訪日を不可能にしつつある。

 そんな時に強行することは、あらゆる観点から日中双方にとってもはや得策ではなくなりつつある。

 その理由をいちいち上げるまでもないが、一言でいうとこうだ。

 米国と覇権を争う中国にとって国賓でない格下げした訪日など、ありえない。

 しかし国賓となると大勢の随行員を引き連れ、そして日本側の皇室行事を伴った大掛かりな行事が不可欠となる。

 コロナ感染を抑えこむことが国家存亡の時に、そんな訪問などできるはずがない。

 しかも習近平はトランプと違って、国賓訪日を単なる物見遊山にするわけにはいかない。

 中国にとっては、第五の文書で、国内を説得する成果を勝ちとる必要がある。

 しかし、そんなことはもはや準備不足で不可能だ。

 そう思っていたら、海の意向こう(ジュネーブ)から、コロナウィルスに関するさらなる警告が発せられた。

 すなわち、これまで中国に対する評価だった「非常に高い」危険性を、ついに、世界全体に広げると発表したのだ。

 皮肉なことにこのニュースは、安倍・楊ケッチ会談が終わった後の、きょう未明になされた。

 どう考えても習近平主席の訪日は無理だ。

 強行すれば日本も中国も内外の批判を浴びる。

 だから私は、安倍首相と楊ケッチの会談では延期を確認したに違いないと考えるのだ。

 しかし、である。

 もしそうなら、どうして発表しなかったのか。

 共同発表するにはもはやこの機会しかないというのに。

 ひょっとして、各紙の報道にあるように、いまでも日中はお互いに腹の探り合いをしているのだろうか。

 もしそうなら、日本と中国の関係は、お互いに本音を語れない、底の浅いものであるということだ。

 安倍首相の説明とは裏腹に、日本と中国は、いまだお互いを利用しあう関係にとどまっているということだ。

 そうであるなら、せめて、いずれ行われる習近平訪日延期の発表だけは、同時発表にしてもらいたい。

 招待した日本のほうから延期を発表できないからといってモタモタしている間に、中国の報道官が一方的に延期を発表するような醜態だけは、安倍外交にはしてもらいたくない。

 メディアはそのことを今から官邸に注文をつけておくべきである(了)

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