予想通り、一日遅れできょう1月31日の朝日がトランプ大統領が提案した中東和平案を批判する社説を掲げた。
日経はまだ社説で書かないようだが、報道ぶりからは明らかに批判している。
これを要するに、トランプ大統領の和平提案は誰が見ても不当なものだということだ。
しかし、重要な事は、それをいくら批判しても、このままではパレスチナの窮状は変わらないということだ。
それどころか、いまは皆が批判している中東和平案であるが、それがどんどんと既成事実化していく懸念があるということだ。
このままでは、パレスチナはなくなる。
500万人を超えるパレスチナ難民の数はますます増え、反発するテロの危険はいつまでも残る。
そう思っていたら、私の懸念をいや増すような記事を見つけた。
ワシントンでトランプ大統領と並んで中東和平案を発表したイスラエルのネタニヤフ首相が、その後ロシアに飛んでプーチン大統領に、中東和平案への理解を求めたというのだ(1月31日日経)
もちろんプーチン首相は手放しで賛成しなかったようだ。
しかし、アメリカに代って中東に影響力を及ぼしたいプーチンの事だ。
批判的な振りをしながら、最後はイスラエルと手を握るおそれが多分にある。
中国に至っては、そもそもパレスチナ問題には熱心でない。
これを要するに、世界の平和を決める国連安保理事会の5大常任理事国が一致すれば、いや一致しなくても、ロシアと中国が拒否権を発動しなければ、トランプ大統領の提案した和平案が、修正を経て中東和平の国連安保理決議となって成立することすらありうるのだ。
私が常日頃、危惧を込めて書いて来た通りの事が起こりうるのだ。
つまり、米国、中国、ロシアが手を組めば、どんな理不尽な合意でも、国際社会を黙らせることが出来るのだ。
そんな軍事覇権大国の横暴に対して、国際社会はどう対応すればいいのか。
それは、一国一票の国連総会の権限を高めることだ。
思い出すがいい。
核兵器の廃絶を拒否する5大常任理事国をしり目に、国連総会は200近い加盟国の過半数である126カ国の賛成で、核兵器廃絶決議を成立させた。
総会決議には拘束力がないが、それでも大国の横暴に対する大きな抑止力となる。
だから、今度のトランプ大統領の中東和平案に対しても、それに平手打ちを食わせるように、原点に立ち返り、イスラエル・パレスチナ二国家平和共存を求めた1948年の安保理決議を順守させるような国連総会決議を成立させればいいのである。
過半数の賛成は必ず得られるはずだ。
国連安保理の機能不全を国連総会決議によって正していく。
その為に国連総会決議の重要性を高めていく。
それこそが、安保理の強化などではなく、真の国連改革なのだだ。
あの時、核兵器廃絶決議が国連総会の多数で成立した時のように、いまこそ真の中東和平決議を国連総会で成立させなければいけない。
それを提案する国がいま現れてこないといけないのである(了)
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