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メディアが書かない米国の即位礼軽視

 他国の元首の即位や葬儀の式典に、国を代表して誰を派遣するかは重要な外交の一つである。

 だからこそ、今度の即位礼の儀に各国はそれにふさわしい人物を派遣する事を決めた。

 財政的に苦しい小国が駐日大使を参加させて済ませるのはやむを得ないが、ほとんどの国は本国政府から、あるいは皇族、あるいは三権の長、あるいは元首、もしくは元首に準じる人物を派遣している。

 日本が仲間入りしているG7のメンバー国はもちろんそうだが、中国は王岐山国家副主席、そして史上最悪の関係にある韓国でさえ李洛淵首相が参列する。

 ところが、日本が最も重要国と見なす米国だけが、チャオ運輸長官の派遣で済ましている。

 当初はペンス副大統領が出席するという報道があったが、いつの間にかチャオ運輸長官に代った。

 誰が考えても、これは日本軽視ではないのか。

 しかもである。

 安倍首相はトランプ大統領を何が何でも令和天皇の国賓第一号として歓待した。

 その答礼としてペンス副大統領の参列は礼儀だろう。

 そして安倍首相もそれを期待していたに違いない。

 しかし、理由も明らかにされないまま、いつの間にかチャオ運輸長官に変更された。

 米国の自動車をもっと買えと言うつもりなら悪い冗談だ。

 ところが、この異例な変更にもかかわらず、メディアは一切その事に触れようとしない。

 なぜか。

 それは安倍外交の大失態になるからだ。

 ここまでトランプ大統領に迎合してきた安倍首相だ。

 しかも令和の即位礼を誰よりも重視している安倍首相である。

 その令和の即位礼をトランプ大統領は軽視したのだ。

 安倍首相にとってこれ以上面目を失う事はない。

 だからメディアは、安倍首相に忖度して一切書かないのだ。

 はたしてチャオ運輸長官と安倍首相が会談する時、安倍首相はチャオ運輸長官に何と語りかけるのだろう。

 メディアはその会談をどう報じるのだろう。

 韓国の李洛淵首相との会談と並んで、私が最も注目するマラソン首脳会談である(了)

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