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安倍政権の中国と韓国に対する徴用工問題対応の大きな違い

 徴用工問題に対する安倍政権の対応が、実は中国と韓国に対して大きく異なっている。

 このことに気づいている国民は果たしてどれほどいるだろうか。

 きょう9月16日の毎日新聞「風知草」で山田孝男特別編集委員がそのことを教えてくれた。

 去る9月2日の菅官房長官の定例記者会見で、記者の一人からこのような質問が出たという。

 「中国人の元徴用工に日本企業が和解金を払っている。韓国人の場合も政府間で争わず、民間同士の解決策を探れないか」と。

 知らなかった。記者からこんな鋭い質問だ出ていたのだ。

 その時、菅官房長官はこう答えたという。

 「政府の立場では発信を控えたいと思います」と。

 いつもの通りだ。

 答えにくい質問には菅官房長官は決して答えない。

 それどころか、あたかも訴えられているのは民間企業であり、その対応は企業が独自の判断で行うべきものであるから政府がとやかくいう事は好ましくないと言わんばかりだ。

 もちろん、これは大嘘である。

 今の安倍政権はいくらでも企業の判断に圧力をかけることができる。

 中国の場合は企業が賠償金を払う事を歓迎し、韓国の場合は決して譲るなと命令しているのだ。

 命令しなくても企業側が安倍政権を忖度してそう対応しているのだ。

 明らかに韓国と中国とでは対応が異なる。

 山田孝男氏はこの菅官房長官の返答を、「逃げ腰」と見えた事を認めている。

 問題はその後に続く山田孝男氏の助言だ。

 山田氏は、こう答弁すべきだったと書いている。

 いろいろと理由付けをしているが、要するに山田氏が言おうとしているのは、一言で言えばこうだ。

 どちらも元徴用工による訴訟が提起されているが、韓国側は日韓基本条約や請求権協定で合意しているのに韓国政府がその約束を守らない。

 ひるがえって中国は、国家の最高レベルで日中共同声明や平和友好条約を否定する動きはない。

 おまけに中国は賠償請求を放棄しているから国家間の問題は起こらない。

 要するに、最近の日本との外交関係の安定度が、韓国と中国で違うから日本の対応も異なるのだと。

 とんでもない答弁だ。

 こんな答弁を菅官房長官が記者会見でしたら大問題になる。

 安倍首相の歴史認識にもっとも厳しいのは中国だ。

 しかし、米中対立の対応を最優先する中国は、米中分断を意図して安倍批判を封印しているだけだ。

 その一方で、安倍政権は米国に挑戦するまでに強くなった中国との関係をいまここで悪化させることは出来ない。

 いま、中国と歴史認識で争えば勝ち目はない。

 だから安倍政権はことさらに日中関係が改善していることを強調するのだ。

 これを要するに、安倍政権も、山田孝男氏も、強い中国には喧嘩しないが、弱い韓国が日本に歯向かってくるのは許さないと言っているのだ。

 韓国ならいくら喧嘩しても勝てると思っているのだ。

 度し難い民族差別である。

 安倍政権は韓国と北朝鮮問題で行き詰ることになる(了)

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