トランプ政権がイスラエルとパレスチナの和平に向けて仲介に動いていると報じられて久しい。
米国は経済支援と引き換えにパレスチナに和平協議に応じるよう呼びかけてきた。
しかし、パレスチナは応じないままだ。
パレスチナ問題を知らない者にとっては、経済支援が受けられるのなら悪い話ではないのに、なぜパレスチナはこの米国による仲介をかたくなに拒否するのかと、疑問に思うだろう。
その疑問に、パレスチナのマゼン・シノクロット元自治政府経済相が、きょう6月22日の朝日新聞紙上で見事に答えている。
「お金をもらえば、当面の生活の足しにはなるかもしれない。でも、根本的な問題である違法な(イスラエルによる)占領を解決せずして、パレスチナの経済発展はない」
こう述べた後で、次のように語るパレスチナの現状こそ、パレスチナ問題を知らないすべての日本人が知るべきことである。
「(イスラエルによる)占領がどれだけ経済に悪影響があるか、考えて欲しい。多くの土地はイスラエルの管理下にあり、土地代は高く、許可がないと建物も建てられない。物資の多くがイスラエル経由でしか手にはいらない。一人あたりの国民総所得はイスラエルの1割以下なのに、食料や日用品の物価はほぼ同じ。電気代は15%、水道代は25%もイスラエルより高い。輸入品の多くに高関税がかけられる。輸送や移動はすべて検問所を通るため、時間もお金も余計にかかる。独立国家でないというのは、こういうことなんだ・・・」
これ以上見事にパレスチナの現状を語る言葉を私は知らない。
パレスチナ問題の本質がここにある。
そしてパレスチナの現状は悪くなる一方だ。
それにもかかわらず、国際政治や国際世論は、まるでひとごのように何も動かない。
国際政治の最大の問題である(了)
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