いまや誰もが日米地位協定の改正を口にするようになった。
全国知事会が決議し、石破氏が総裁選の公約として言及し、野党は国会で日米地位協定が他国の同様の協定に比べ如何に不平等であるかを攻め立てる。
しかし、その割には一向に日米地位協定の改正作業が始まらない。
それも、そのはずである。
米国は決して日米地位協定の改定を許さないのだ。
それでも改正を日本が要求すれば、それなら日米安保を止める、それでいいのかと凄まれる。
それほど大きな政治的決断を要する事なのである。
それを象徴する記事を、きょう11月9日の朝日新聞に見つけた。
沖縄県で今年の1月に米軍ヘリコプター事故が相次いだことがあった。
あの時、日本政府(防衛省)は自衛官を米軍普天間基地に派遣し、米軍と一緒になって原因解明すると国民に約束した形で幕引きを図った。
ところが、一向にそれが進んでいないというのだ。
そしてその原因が、米国が自衛官の受け入れを拒んだまま、9カ月がたったというのだ。
つまり米軍が自衛官を米軍基地に入れて共同で原因究明するなどという合意ははじめから無かったのだ。
そして、朝日新聞はこう書いている。
きのう11月8日、米軍施設であるニューサンノーホテル(東京都港区)に自衛隊と在日米軍司令部のヘリの操縦・整備経験者らが集まり話し合ったと。
この会合については、当時の小野寺五典前防衛相は、米軍による整備状況を「検証・確認」するためのものと発表していたが、今度の会合では「検査を目的としたものではない」と防衛省は発表し直したという。
たたみかけるように在日米軍司令部は、「検査ではない、検査に関しても議論される事はない」と言って強く反発したという。
これが実態だ。
米軍は日米地位協定に指一本触れさせないつもりなのだ。
そして米側に一蹴されれば、手も足も出ない日本政府(防衛相)なのだ。
その現実を知った上で、その現状を変えるのが日米地位協定を改正するという事なのである。
そんな覚悟がないのに、軽々しく日米地位協定を改正するなどと口にするんじゃねーよ、チコちゃんにそう叱られそうな、朝日新聞の記事である(了)
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