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旭日旗を艦旗とした自衛隊が安倍政権の墓穴を掘ることになる

 安倍政権の致命傷となる問題は数多くある。

 なんといっても、いまでも世論の7割以上が納得していない森友・加計疑惑がその筆頭だ。

 しかし、私は歴史認識の誤りこそ、安倍政権の致命傷にふさわしいと思っている。

 またもや、安倍政権の歴史認識の誤りから来る深刻な外交問題が韓国との間で発生した。

 いわゆる自衛隊の艦旗である旭日旗問題である。

 きっかけは、韓国の済州島で10月11日に開かれる国際観艦式に参加する自衛隊艦船に、旭日旗の掲揚を自粛して欲しいと韓国政府が申し入れてきたことに始まる。

 これに対し、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は、4日の定例記者会見で、即座に拒否した。

 「海上自衛官にとって自衛艦旗は誇りだ。降ろしていくことは絶対ない」と。

 まるで売られた喧嘩は買ってやると言わんばかりだ。

 そして、韓国側との調整がつかず、ついに安倍政権は自衛隊艦船の派遣を中止した。

 就任したばかりの岩屋防衛大臣の初仕事がその発表になった。

 この事件に対し、産経や読売といった、安倍首相の歴史認識に同調するメディアは、韓国の対応について怒り狂っている。

 艦旗を掲揚する事は国際法で求められている(つまり民間船と軍艦の識別の必要がある)。そして日本の国内法(自衛隊法施行令)でその意匠は旭日と定められている。

 だから降ろして航海することは許されないというわけだ。

 そしてもう一つの理由は、長年このことが問題とされることはなかったのに、左翼・反日の文在寅大統領が世論に迎合していいがかりをつけてきた、というものだ。

 この点については、朝日新聞のソウル支局長の牧野愛博記者も、まるで産経新聞の記者のように、ネット上の書き込みにおされて文在寅大統領が方針を変えた、などと書いている(10月6日朝日)。

 しかし、日本が反発すればするほど、墓穴を掘ることになる。

 日本にとって不都合な真実が次々とあきらかになるからだ。

 旭日旗が旧海軍艦船の艦旗であったことは、産経や読売も認めるまぎれもない事実だ。

 そうだとすれば、旧日本軍の犠牲になった国民が反発するのは当然だ。

 それにたいして侵略国がとやかく言えるものではない。

 驚くべきは、その旧海軍の艦船旗が、そっくりそのまま自衛隊の艦旗になった経緯だ。

 海上自衛隊の前進である保安庁警備隊が編成され、1952年に警備隊旗とされたものは、旭日旗ではなかった。

 ところが、1954年に防衛庁・自衛隊に格上げされたきっかけに見直され、旧海軍の旭日旗が復活したのだ。

 建前上は公募の結果という事になっている。

 しかしその背後に旧海軍関係者の働きあっけがあったことは言うまでもない。

 1954年といえば、まだ旧日本軍の影響は残っていた。

 今の自衛隊幹部の中には、旧日本軍人を父に持つ者が多い。

 ちなみに自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は海上自衛隊出身であり、父克次は旧海軍軍人で真珠湾攻撃に潜水艦機関長として参戦している。

 その河野統幕長は安倍首相の寵愛を受けていつまでたっても統合幕僚長に居座っている。

 こういう事実が次々と明らかになれば、旭日旗を誇りにする安倍政権に対する不信が、韓国にとどまらず、中国、アジア、いや欧米にまで広がるだろう。

 そして、いつもの通り日本の国論は二分する。

 旭日旗を自衛隊艦旗にした自衛隊法を変えろ、という声が間違いなく起きる。

 歴史を否定することは自由であるが、歴史を否定するものは必ず歴史に否定されて終わる(了)

 

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