終戦記念日の恒例行事は戦没者の追悼式であるが、なぜそれが靖国神社でもなければ千鳥ヶ淵の戦没者墓地でもなく、コンサートなどに使われる武道館なのか。
それは、この国には、戦争の犠牲者がひとしく祀られ、誰もがわだかまりなく参拝できる、いわゆる国立追悼施設がないからだ。
そして、その必要性は終戦記念日がやってくるたびに指摘されるが、いつまでたっても結論がでないままだ。
そんな中で、昨日の読売新聞が、国立の追悼施設をつくるべきだという福田康夫元首相のインタビュー記事を掲載した。
福田氏は、靖国問題が大問題になった小泉政権の時の官房長官であり、国立追悼施設が必要だという結論を出した有識者懇談会の取りまとめ役だった。
その福田氏がこう語っている。
「国立追悼施設が出来ないのは、靖国が唯一の追悼施設だと主張する人たちがいるからです。靖国派ですね」と。
そして次のように続ける。
「国立追悼施設をつくり、そこで追悼式を行っても、投石するような人が出て来てはいけません。施設をつくるには大方の人が納得する必要があります。国のリーダーが、反対する人たちを説得することが大事ではないでしょうか。リーダーが旗を振れば、まとまると思います。反対する人たちの中には今の首相を支持する人が多いというのであれば、今の首相が旗を振ればまとまりますよ」
これは痛烈な安倍批判に見える。
確かに福田氏は元首相の中では、いまや安倍首相批判者の筆頭格だ。
同じ清話会の元首相であっても、いかさま小泉純一郎と違って本物の批判者だ。
しかし、この福田氏のインタビューを掲載したのが読売新聞であるところがミソだ。
ひょっとして安倍首相は国立追悼施設に踏み切るのではないか。
読売新聞のナベツネはそのことを安倍首相に助言し、安倍首相もその事に気づいているのではないか。
国立追悼施設の建設に踏み切れば、これまでの批判を相殺して余りある、歴史に残る首相になれると。
自分なら靖国派をなだめられると。
果たしてそこまでの知恵と度胸が安倍首相にあるか。
それはわからない。
しかし、読売はこうも書いている。
「戦後生まれの皇太子さまの即位で『あらたな追悼施設の気運が盛り上がるのではないか』(政府関係者)との声もある」と
どうやら、間違いなさそうだ。
安倍首相の側近の知恵者の中には、三選後のさらなる長期政権を目論んだ目玉政策、この国立追悼施設建設に置いている者がいるに違いない。
これこそ安倍首相しか出来ない究極のパフォーマンスだ。
私だったらそう安倍首相に助言する(了)
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