きょう7月15日の地方紙(下野新聞)が報じたから、おそらく共同通信のスクープに違いない。
安倍首相は、韓国との交流拡大に向けた方策を議論する有識者会合を設置する方針を固めたという。
政府関係者が14日明らかにしたという。
その狙いは、慰安婦問題で行き詰った日韓の対立を緩和し、小渕恵三首相と金大中大統領が発表した日韓共同宣言(1998年10月)を再検証するためだという。
今年10月の共同宣言20周年を踏まえた対応であるという。
このスクープ報道は、これから大手新聞などが後追い報道をはじめ、安倍外交の大きなテーマになっていくだろう。
私はこの共同のスクープを知ってあらためて安倍外交の行き詰まりを見た。
行き詰まりを打開するために、自らの歴史認識すら封印する安倍首相の無節操さを見た。
いうまでもなく慰安婦問題がなぜここまで大きくなったかは、安倍首相が間違った歴史認識に拘泥したからである。
安倍首相が慰安婦問題に拘泥しなければ、ここまで慰安婦問題が深刻な日韓間の外交・政治問題にならなかったに違いない。
安倍政権の下で世界中に慰安婦像が設置され、ついに7月8日の産経新聞が報じた。
台湾の慰安婦記念館で、アンネ・フランク展が始まり、ホロコーストと慰安婦問題を同列視するかのような展示が行われたという。
親日の台湾でさえここまで慰安婦問題が取り上げられるようになったことは深刻だ。
慰安婦問題が日本の歴史的汚点に発展してしまったのも、すべては安倍政権の間違った歴史認識に基づく慰安婦問題否定の結果である。
なぜそこまで慰安婦問題を否定するのか。
それは安倍首相みずから依拠する日本会議の影響があるからだ。
だからこそ、韓国に文在寅新政権が誕生し、昨年12月に日韓慰安婦不可逆合意を見直すと言い出した時、安倍・菅・河野コンビが激怒し、これで日韓関係は終わったと言わんばかりの外交的暴言を吐いたのだ。
だったら、最後までその信念を貫いたらいいものを、ここにきて慰安婦問題を棚上げするというのだ。
日韓共同宣言20周年を祝うというのだ。
1998年10月に小渕首相と金大中大統領が署名し、発表した日韓共同宣言には何と書かれていたか。
小渕首相は、日本の植民地支配が韓国国民に多大の損害と苦痛を与えた歴史的事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのおわびを伝え、金大中大統領はこれを評価した上で、未来志向の日韓関係の発展に向けた努力を強調した。
安倍首相は7月8日に行われた日米韓三か国外相会談の際に韓国の康京和外相と官邸で面会した時、「今年の秋には宣言20周年を迎える。未来志向の日韓関係を発展させた」と表明したらしい。
この厚顔ぶりはどうか。
だったら最初から小渕首相を見習っておけばよかったのだ。
慰安婦問題がこんなに大きくこじれることはなかったはずだ。
歴史的な米朝首脳会談が行われ、日韓関係も北朝鮮関係も行き詰まったままでは、自らも行き詰ってしまう。
だから、自らの間違った歴史認識を封印して、小渕・金大中の日韓共同宣言に立ち返ろうとする。
そんな支離滅裂の日韓外交のお膳立てをする有識者会合のメンバーを引き受ける有識者とはどんな顔ぶれになるのか、容易に想像はつくが、安倍首相と同様に無節操な顔ぶれになること間違いない(了)
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