安倍首相がついに外遊を止めざるを得なくなった。
報道によれば、最後まで外遊に固執していたようだが、さすがにここまで被害が甚大である事が判明した以上、止めざるを得ないと判断したということだ。
しかし、それは国民のためを思っての判断ではない。
外遊を取り止めた理由はただ一つ。
支持率が下がり、総裁選に悪影響を及ぼし、そして、下手をすれば引責辞任に追い込まれるおそれすらあると思ったからだ。
ところが、自民党内からも、野党からも、こんな醜態を演じた安倍首相への批判は起こらない。
その理由は、こんな時に内輪もめや政局争いをしている場合かと、国民に反発されるからだ。
しかしそれだけではない。
自分たちにも非があるからだ。
すなわち、自民党は豪雨が始まった5日夜、議員宿舎で安倍首相を交えて懇親会をやっていた。
その主催者のひとりが、反安倍糾合のキーマンと見なされている竹下亘総務会長だった。
その竹下亘総務会長は、「どのような非難もお受けする」と記者会見で全面的に非を認めざるを得なかった。
これでは安倍首相を批判する事は出来ない。
その一方で、野党党首はいまごろになって(9日)、雁首そろえて官邸に乗り込み、「政府は災害優先を」とパフォーマンスをやっている。
政治休戦を申し入れたと格好をつけている。
本当は、ここぞとばかり安倍首相を追及したいところだが、彼らもまた今度の災害を見くびっていたのだ。
もっとはやく安倍首相の外遊中止を大声で要求していたなら、今度の安倍首相の前代未聞の「外遊の直前中止」という失態を追及できたはずだ。
これを要するに、与党も野党も、いまの政党、政治家は国民の事を本気で考えて政治をしていないということだ。
いまの政治では、いざとなった時に国民を救えないのだ。
そして、そのことは、復興が本格化するこれから、ますます露呈することになる。
あの東日本大災害が起きた時、私はいまこそ新しい政治を、と訴えた。
つまり、政治と行政が上から復興支援を押し付けるのでは、いつまでたっても被災者は救われず、予算の無駄遣いに終わる。
そうではなく、緊急避難的に、被災地の首長に予算と権限を全て委ね、被災民の手によって復興させるしかないと。
そして東日本大災害が今になっても完全復興していない今こそ、西日本大災害の復旧、復興では、新しい政治が必要なのだ。
しかし、そのような声は、今度も、どこからも出て来ないだろう。
そんな事をすれば、与党も野党も、自分たちが独占している政治の存在意義がなくなるからだ。
これまでの政治の本当の問題は、権力を独占した政治が、その既得権を手放せないところにある。
これまでの政治の本当の問題は、口先では、与党も野党も、国民のための政治を競い合っているが、現実には、どちらも国民を救えないところにある。
新しい政治が待ったなしに必要な時に来ているということである(了)
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