きょう6月24日の毎日新聞が一面トップでスクープ報道した。
障害者らに不妊手術を強制した旧優生保護法について、連合国軍総司令部(GHQ)が問題視していた事がGHQの記録から明らかになったと。
衝撃的なのは、ナチス・ドイツの断種法ですら医学的に遺伝性と見なされる個々の病気を明示していたのに、この日本の旧優生保護法は、不妊手術の医学的根拠がおおざっぱで不明だとGHQが問題視していたという事実だ。
日本側はGHQの見解を受け入れ修正に応じたが、結局は後の強制不妊の大半の理由になる遺伝性精神病などはそのまま残ったという。
おりから、いまこの旧優生保護法の強制不妊手術が人権問題として大きな社会的問題となっている。
この毎日新聞のスクープ報道は、日本政府に対する責任追及と賠償要求に対する追い風となるだろう。
しかし、私が衝撃を受けたもう一つの理由がある。
それはGHQの反対で修正に応じたにもかかわらず、最後は問題の残った旧優生保護法を当時の政府が成立させたという事実だ。
これを毎日新聞の報道は、日本政府が米国の反対にもかかわらず押し切った、と書いている。
しかし、私はこれは違うと思う。
もしGHQが本気で旧優生保護法の成立に反対していたなら、日本が米国の反対を押し切ってまで成立させられるはずがない。
GHQは、問題視しながらも、その成立に本気になって反対しなかったのだ。
この事について、GHQ文書研究者の第一人者であるという荒敬・元長野県短大教授(日本現代史)がこう語っている。
すなわち、他の法案でもGHQと日本政府とのやり取りは珍しくないが、国会審議中に法案を修正させるのは非常に特殊で、医療担当部部門から見れば医学的に到底認められない内容だったのではないかと。
ただ、GHQは民主的手続きも重視し、選挙で選ばれた議員による提案だったこともあり、最終的に改正案を容認したのだろうと。
これは違うと思う。
GHQとは事実上、日本を占領した米国政府のことだ。
当時の米国政府が本気で実現しようとしたなら、それに反対して押し切る事など、当時の日本政府に出来るはずはなかった。
これを要するに、ナチス・ドイツの断種法以上に人権違反の旧優生保護法であったにもかかわらず、日本人に適用される法律だから、GHQがそれ以上あえて反対しなかったのではないのか。
私はそう思っている。
私がもうひとつの衝撃と言ったのはその事である(了)
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