今度は朝日新聞だ。
きょう6月14日の朝日新聞紙上で渡辺靖、李鐘元という二人の国際政治学者を相手に佐々江賢一郎前駐米大使が対談している。
その佐々江大使が冒頭で次のように語っているのを見つけた。
「首脳レベルで会談したことにまず歴史的な意味がある・・・二人が署名した共同声明は、事前の期待が高かった人から見れば、重要なことが書かれていなかったように見えたかもしれない。けれども、交渉の核心だった非核化と体制の保証については対(つい)の形で明記されている。最も重要な問題に関して、首脳レベルで合意したことは評価されるべきだ。CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)が入っていない、と言うけれど、言葉を勝ち取るためだけに大変なエネルギーを費やすのがいいとは思わない」
その通りである。
共同声明に対する批判的な意見が花盛りの中で、この佐々江氏の言葉が一段と光を放っている。
佐々江氏は私の5年後輩だ。
入省したその日に、ほかの同期生と一緒に省内をあいさつ回りしていた姿を昨日のように思い出す。
同期や後輩を批判するのは私の専売特許のように思われがちだが、決してそうではない。
彼らが間違っているから批判ばかりしているように見えるだけだ。
正しければ褒める。
この佐々江大使の言葉は、まさしく正しいから素直に評価したい。
米朝首脳会談は失敗してもらいたいと本音を漏らした同期の藤崎一郎元駐米大使の発言とは対照的だ。
正しければその通りだと評価し、間違っていれば批判する。
ただ、それだけの事である。
古巣を批判するのは誰でも悲しく、忍び難いものだ。
それは決して私の本意ではない。
米朝首脳会談の歴史的合意をきっかけに、外務省が安倍首相への忖度から決別して、正しく力強い外務省に蘇生してくれる事を願うばかりである(了)
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