きょう4月26日の日経が「迫真」というコラムで安倍首相が訪米した時の二国間交渉の裏話を書いていた。
1970年-80年代の貿易摩擦を経験した経済産業省の幹部が過去の苦い経験を思い出し、いつか来た道をまたたどるのかと嘆いているという。
すなわち、米国に輸入規制などの強硬策をちらつかされた日本は、まず繊維の輸出自主規制をのまされ、ついで農産物、自動車で摩擦が起き、米国で日本たたきが広がった、あの苦い経験だ。
実際のところ、当時の日米交渉を知っている者なら誰でもそう考えているはずだ。
ところが、安倍首相はどう対応していたか。
日経新聞のその記事はこう書いている。
「・・・安倍は日米首脳会談から帰国後、『あれがあったから踏みとどまった』と周囲に漏らしたという」と。
そして日経のその記事は、「『あれ』とは日本が提案した米国との新しい通商対話の枠組みのことである」と書いている。
つまり、これまでの一年間、ペンス副大統領と麻生副総理との間で話し合われるはずだった日米経済対話で何も話し合いをしようとしなかった日本に不満を持つ米国をなだめるために、新しい通商対話の枠組みをもちかけ、「今回はなんとかしのげた」と安倍首相とその周辺は安堵したというのだ。
ここまで無策だとは思わなかった。
訪米時にトランプ大統領と直談判する戦略など初めから無く、ただ先送りしただけだ。
はじめからそんな無策で訪米し、首脳会談に臨んだということだ。
無理もない。
今度の首脳会談は北朝鮮問題ではしごを外されて、あわてて北朝鮮の圧力を忘れてくれるなと念押しするためだけの訪米であったからだ。
それを逆手にとってつけこまれるトランプ大統領の攻勢には、何の対策も講じる余裕がなかったからだ。
しかし、そのツケは大きい。
外務省幹部はこう語っているという。
「日米経済対話は何もやらなかったという意味でうまくいきすぎた。新たな対話での先送りは(トランプは)許さないだろう」
麻生大臣が出来なかった事を、茂木大臣に出来るはずがない。
いや、安倍政権そのものに、トランプ大統領の圧力をはね返すことなどできるはずがない。
ひょっとして安倍首相は本格交渉が始まる前に敵前逃亡するつもりではないのか。
この無策ぶりを見せつけられたら、そう思えてくる。
あとは野となれ山となれだ。
尻拭いさせられるポスト安倍はとんだ貧乏くじを引かされることになりそうだ。
誰がなってもまた再び短命政権の時代に逆戻りしそうな気がする。
だからといって、いまの野党にトランプ大統領の米国と正しく向かい合う能力など皆無だ。
国民生活を守るためには、与野党を超えた緊急避難の挙国一致内閣がますます必要になってくる。
これは冗談で言っている話ではない。
誰かがそう言い出さなければいけない(了)
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