私は3月18日のメルマガ第214号で、共同通信のスクープを引用して書いた。
今頃になって、あらたな拉致被害者情報が北朝鮮側から日本政府に伝えられていたことが分かったという。
しかもその情報は、最近伝えられたのではなく、あの2014年のストックホルム合意の前だったという。
このような情報が今頃明かされるのは、外務省からの内部告発か、さもなければ官邸筋が流した情報操作のどちらかだと。
そして私はそのメルマガで推測した。
これは内部告発ではなく拉致問題の最終決着を目論む官邸筋の情報操作に違いないと。
つまり、拉致問題のあらたな情報を流す事によって国民に拉致問題の重要性を想起させ、米朝首脳会談でトランプから拉致問題を重要な議題にしてもらい、その交渉結果がどうであれ、それで拉致問題の最終決着を図ろうと目論んでいるのではないかと。
トランプ大統領自らやってくれた。
しかし、そのトランプ大統領でもここまでしかできなかった。
だから、拉致問題の解決はこれで最終決着するしかない。
そう強弁して、安倍首相は幕引きを図ろうとしているのではないかと。
どうやら、私の推測は外れていたようだ。
きょう3月26日、再び共同通信があらたにスクープ報道した。
すなわち、前回のスクープで報じられた田中実さんとは別の、金田龍光さんという人物もまた拉致被害者として北朝鮮側が日本政府に伝えていたというのだ。
伝えた時期も、前回の田中さん場合と同様に、2014年のストックホルム合意前であるという。
共同通信のスクープ記事はこう書いている。
日本側は揺さぶりの可能性もあるとみて警戒していると。
外務省幹部は共同通信の取材に「コメントできない」と語ったと。
きょうの、この二回目の共同通信のスクープ記事を見て、これは安倍政権の情報操作ではなく、外務官僚の内部告発に違いないと私は思い直した。
すなわち2014年のストックホルム合意の経緯を外務省内部で見て来た人物が、そのあまりのウソに怒って、森友文書改ざんで混乱している今、告発したのだ。
外務省はあの時北朝鮮から横田めぐみさんをはじめとした拉致被害者の生死情報をすべて伝えられたが、その情報が安倍政権にとってあまりにも不都合だったため受け取らず、更なる協議を続けるという形にしたのだ。
そう考えれば、すべてに合点が行く。
すなわち、そう考えればあのストックホルム合意の不自然さの理由がわかる。あれは合意ではなく、両政府の取るべき措置が併記されている、複雑・怪奇な覚書のようなものだった。
そう考えれば、あの時の菅官房長官の記者会見のうろたえ振りが理解できる。
そう考えれば、あの時の報道関係者が、ストックホルム交渉は、記者会見でどうストックホルム合意を発表するかという手続き問題に終始したと口を滑らせたことが理解できる。
そして、そう考えれば、北朝鮮側が、あのストックホルム交渉を境にして、自分たちはすべての情報を提供したが日本側は受け取らなかった、拉致問題はもはや日本側の問題だ、などと言い出すようになったことも合点が行く。
いまこそ野党はストックホルム合意の再検証を安倍政権に求めなければいけない。
それにしても、共同通信が二度にわたってここまでの大スクープ報道をしたというのに、大手新聞は一切後追い報道をしようとしない。
ただの怠慢か。
それとも安倍首相のサプライズのためにかん口令が敷かれているともいうのだろうか(了)
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