実話BUNKAタブー誌(コアマガジン社)が2月号で特集した「日本をダメにした幕末・維新のワースト15人」の中では、吉田松陰がワーストNO1にランクされていた。
その理由は、吉田松陰が「松下村塾」という私塾を開いてテロリストを養成したからだ。
しかし、本当の理由はそれではない。
吉田松陰の考えこそが、大問題であるのだ。
その事を、歴史学者の磯田道史氏が、二日ほど前の東京新聞の連載「変革の源流」(7)で、吉田松陰が獄中で綴った思想書「幽囚録」を引用して、教えてくれた。
すなわち、吉田松陰はこの幽囚録で、その後の日本がたどる道を提言していたというのだ。
蝦夷(北海道)の地を開墾して、諸侯を封じ、隙に乗じてカムチャッカ、オホーツクを奪い、琉球を諭して内地の諸侯同様に参勤させ、朝鮮を攻めて質をとって朝貢させ、北は満州の地を割き取り、南は台湾・ルソンを収め、漸次進取の勢いを示せ、と提言していたというのだ。
そして、磯田氏はこう語っている。
ここに書かれている思想は、明治以降の外交政策に大きく影響しましたと。
北海道開発、琉球処分、台湾出兵、日韓併合、満州事変、フィリピン占領と、ほぼ予言通りに進みましたと。
武力に頼る中央集権国家の確立に影響を与えた吉田松陰は、間違いなくワーストNO1である。
しかし、ワーストNO1どころか、その吉田松陰を称えるのが、安倍首相の下で急速に進んでいる今の政治の風潮なのだ。
アジアとの共生が出来ないはずである(了)
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