きょう11月9日の読売新聞が、トランプ米大統領の韓国国会での演説全文を掲載している。
それを読んで思わず唸ってしまった。
演説の冒頭の大部分を使って、北朝鮮と共に戦った韓国を讃え、米韓「血の同盟」関係を確認している。
返す刀で演説の大部分を割いて北朝鮮を酷評している。
極めつけは次の言葉だ。
「北朝鮮は、あなたの祖父が思い描いた楽園ではない。誰にとってもふさわしくない地獄だ」
そして、最後に再び韓国を絶賛し、ありがとう、あなたたちに神の祝福がありますように、と締めくくっている。
しかもその後で、朝鮮の人々に神の祝福がありますように、と南北統一をほのめかしてる。
いくら韓国で、「トランプ来るな」というデモが起きても、この国会演説を聞けば、韓国民は自尊心をくすぐられるだろう。
これが、トランプを国賓として招待した文在寅大統領の首脳外交だ。
そして、次に訪れた中国では、いまや帝王となった習近平主席が、中国が世界に君臨した時代の象徴である故宮を貸し切りにして、トランプ大統領を、聞いた事のない、「国賓を超えた賓客」としてもてなした。
まもなく始まる首脳会談でも、立場の違いを巧みに封印して、世界を支配する米中大国関係を演出することになろう。
これこそが首脳外交だ。
首脳外交とは、決して首脳間の個人的友好関係を誇示するものではない。
その国の国民を背負った二国間の首脳の、国家の威信と国益を賭けた凌ぎ合いなのだ。
ひるがえって、それに先立って行われたトランプ大統領の来日はどうだったか。
個人的友好関係を強調するあまり、ゴルフと会食パフォーマンスが優先された。
米国大統領の初来日にもかかわらず国賓としなかったのは、天皇陛下の謁見を避けるためではなく、ゴルフをしたかったからに違いない。
いまとなってはそう思わざるを得ない。
トランプ大統領の国会演説よりも、トランプ大統領とのゴルフと会食を優先したかったのだ。
それもそのはずだ。
日米同盟という名の対米従属一辺倒の戦後の日米関係では、米国の大統領が日本の国会で日本国民に語るべき言葉はないからだ。
その対米従属関係を、ここまで「強化」させ、国民に見せつけた安倍首相は、習近平主席や文在寅大統領の首脳外交に比べて歴史的敗北をおかした。
ついでに言えば、今度のトランプ大統領のアジア歴訪の主要議題である北朝鮮問題についても、文在寅大統領や習近平主席にとっては、危機が問題ではない。あくまでも米国との外交をいかに有利に運ぶかのカードなのだ。
その意味ではトランプ大統領も同じだ。
一方の安倍首相は、本気になって危機を煽っている。
笑い話だ。
まさしく首脳外交における安倍首相の歴史的敗北である(了)
トランプ大統領に対する日本の接待があまりにも子供じみていて、しかも報道でトランプ大統領の顔色を見れば、心から喜ばれていないことは一目瞭然でした。その後に続いた韓国や中国の接待が豪華だったこともあり(おそらくこちらは行き過ぎでしょうが)安倍総理の周りの方々のサポートがまったくお粗末としか思えず、そういった意見がなぜ出ていないのだろうか、と疑問に思いネットを探していて、天木さんのブログにたどり着きました。(驚いたことに、天木さんの他には、このような的確な意見を出されている方はみつかりませんでした。)内閣府、外務省等の省庁はちゃんと官邸と連携ができているのでしょうか。今後の日米関係に微妙に影響があるだろう日本の接待の失敗を直視しようともせず、執拗に韓国を気にする報道にも日本人としてさらに恥ずかしくなります。
あまり誰もツッコミませんが、会食中にファーストレディーに対して晋ちゃんは「イバンカさん」と間違えて呼びかけていました。
あれで御夫人様は完璧に気分を害された事でしょう。
これやっちゃったのが晋ちゃんじゃなくて、別の方だったらその後の処遇はどうなってしまうことなのか。
これも自ら掘った「首脳外交の歴史的敗北」の一コマでした。
日本は御用メディアのイカサマ情報しか知らされていない。北朝鮮危機も国境を接する韓国は冷静に見ている。もしアメリカが北に先制攻撃を仕掛けたら、ソウルは戦禍により百万人以上の人的被害が発生するのは確実と言われ、在韓米軍基地も甚大な被害を受けるのをトランプも分かっていて、「実際に攻撃に踏み切る可能性は高くない」との見立てが多い。従って、闇雲に危機を煽り立てるのは、それなりの狙いがあるからだ。それは、軍需産業が製造した型落ちしたり処分品などの武器や兵器のセールスである。軍産複合体に操られた御用メディアとそれを利用する安倍政権が結託して、国民に北朝鮮脅威論を誇大に喧伝しているのだ。トランプ米国からの大量兵器購入約束取り交わしも、その一環だ。