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稲田防衛大臣は辞めるべきではないと書いた菅野完

 森友疑惑をいち早く追及したフリーライターの菅野完氏が、ネット上のハーバービジネスオンラインというメディアで、次のように書いているのを見つけた。

 「ここまで稲田を批判してきた身としては、『やっと辞任か』と喜ぶのが自然の成り行きかも知れぬ。が、今回ばかりは違う。今回ばかりは、彼女を擁護するしかない。 稲田朋美は、防衛大臣を辞めるべきではないのだ・・・」

 私が注目したのは、その後に菅野氏が述べているその理由だ。

 以下にその該当部分をそのまま引用する。

 ・・・ 今回、稲田が職を失う可能性が出てきたのは、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽問題で、本年2月以降彼女が行ってきた国会答弁が虚偽である疑いが極めて濃厚になったためだ。
 各紙の報道によると、複数の政府関係者が、「稲田防衛相は2月に行われた防衛省最高幹部による緊急会議で、日報保管の事実を非公表とするとの方針を幹部から伝えられ、了承していた」と、証言しているのだという。(参照:毎日新聞)
 さらには、この会議の数日前にも、陸自から防衛相に電子データの存在が報告されていた可能性があるともいう。(参照:朝日新聞)
もしこれが事実であれば、2月以降稲田朋美が国会で答弁してきた内容は、ことごとく虚偽だったということになる。
 一方、稲田朋美本人は19日午前、記者団に対し「隠蔽を了承したとか、非公表を了承したとか言う事実は全くありません」と語り、上記「政府関係者」の証言を否定した。また、21日に行われた特別防衛監察からの聴取でも稲田朋美は改めて日報のデータが陸自内に保管されていたという報告は受けていないと説明している。
 このように、稲田朋美防衛大臣の証言と、報道のいう「政府関係者」の証言は真っ向から食い違っている。つまり、「誰かが嘘をついている」ということだ。
 いま、我々の目の前には、「誰かが嘘をついている」がために、なにが本当なのか皆目見当がつかないとう「藪の中」のような光景が広がっている。
 PKO活動の日報が安全保障政策上極めて重要な一次資料であることは論をまたない。しかも今回、南スーダンに派遣されたPKO部隊は、戦闘行為があったのではないかとされる現場付近に展開していた。その部隊が作成する日報はあだやおろそかにできるものではなかろう。
 その日報がどう処理されたのかが「藪の中」であっていいはずがない。さらにはこの「藪の中」のような光景を産んでしまったのが、防衛大臣と防衛省職員(制服組であれ背広組であれの)との証言の食い違いであるのならば、ガバナンスとしても大問題ではないか。
 当然のことながら防衛省のガバナンスの問題は、ひとえに防衛大臣の責任だ。「防衛省がここまでグチャグチャになった」責任は、稲田が一身に負わねばなるまい。その責任だけでも稲田は辞任に相当するであろう。彼女が防衛大臣でありつづけるならば、「まともな能力をもった文民がまともな管理を行う」というシビリアンコントロールの要諦は、夏場の氷のように溶解してしまうだろう。
 しかし「藪の中」のような光景を産んでしまった責任は、稲田だけの問題ではない。「証言の食い違い」を産んでいる「嘘」の証言は、陸自や統幕が行っている可能性さえある。むしろ前出の報道のように「政府関係者」証言がいまになって次々と出てくる様子や、ここにきて陸自側から稲田批判ともとれる証言が各紙に伝わるようになった様子をみると、陸自や統幕が大臣の地位を脅かすためにあえて内部情報を流出させている可能性が極めて濃厚だ。もしそうであるならば、それは極めて重大なシビリアンコントロールの危機であろう。
 つまり、我々有権者は、「藪の中」のような光景を目にして、「稲田朋美のような人物が大臣を続けることはシビリアンコントロールの危機」であるという現実と「自衛隊側からの稲田降ろしの動きを容認することはシビリアンコントロールの危機」であるという現実を、二つながら同時に突きつけられているのだ。稲田憎しで稲田を降ろしても、自衛隊憎しで自衛隊をしばりつけても、「藪の中」からでてくるのは、「シビリアンコントロールの危機」といいう蛇しかない。
 こうなるともう、藪を焼き払い、全ての真実を明らかにするほかない。そしてその術は、あらゆる関係書面とあらゆる関係者を国権の最高機関たる国会にあつめるしかもはやあるまい。
 簡単なことだ。稲田も、統幕長も陸自関係者も全員、国会に証人喚問すればよい・・・

 まさしく、菅野氏がここに書いている事が、私が24日のブログ「日報隠しの本当の原因は防衛省の組織崩壊にあるのではないか」で書いた趣旨である。

 すべてを明らかにした上で、ここまで深刻な状況を招いた安倍首相と稲田防衛大臣が引責辞任すればいいのである(了)

 

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