それにしても、あそこまで激しい中国共産党批判をしたのだから、さぞかし国務省の有数の中国専門家がポンぺオ国務長官のコピーライターを務めたのだろうと思っていた。
ところが、なんとあの演説を書いたのは亡命中国人だったというのだ。
発売中の週刊文春(8月6日号)でジャーナリストの濱本良一氏が教えてくれた。
米政権の対中強硬策の中心で最近注目を集めている人物がいると。
中国系アメリカ人のマイルズ・ユー(余茂春57歳)だと。
ポンぺオ国務長官の対中政策立案の顧問を務め、国務長官室の近くに個室が与えられ、「国の宝」(スティルウェル国務次官補)と高い評価を受けていると。
小・中学校時代に文化大革命を経験し、共産体制に嫌気がさして天津の南開大学を卒業後1985年に米国に留学し、カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得し、1989年の天安門事件に衝撃を受けて米国に帰化した人物だというのだ。
そのユー氏は1994年にアナポリス海軍兵学校で現代中国史の教授職を得て、2017年1月、トランプ政権発足とともに現職についたというのだ。
何のことはない。
およそ中国の事など何も知らないポンぺオ国務長官が、亡命中国人の書いた反共演説コピーをそのまま読み上げただけだったのだ。
もちろん、中国政府は百も承知だ。
きょう8月4日の毎日新聞が書いていた。
ユー氏への風あたりが中国内で強まっていると。
裏切者を表す「漢奸」と批判され、ネット上ではポンぺオ演説(7月23日)後の7月末に、母校の高校でトップの成績を収めた生徒の氏名を刻んだ石碑から名前を削り取る動画まで配信されたという。
中国紙「環球時報」の胡錦進編集長は、すでにポンぺオ演説が行われる前の7月中旬、「ユー氏は早く中国を去り過ぎたため、その後の(中国の)発展について現実的な感覚を欠く」と。
中国はすべてお見通しなのだ。
時代遅れの「漢奸」に頼るな、今の中国はかつての中国とは違う、と胸を張っているのだ。
この喧嘩、米国に勝ち目はない(了)
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