ここまでひどいとは思わなかった。
8月23日にポンぺオ米国務長官が行った対中批判演説の事である。
各紙が報じる演説要旨を読んであらためてそう思った。
なにしろ、ニクソン・キッシンジャーが行った中国に対する関与政策は失敗だったという言葉から始まっている。
しかも失敗の原因が、中国が約束を守らなかったからだといい、その証拠がコロナ感染症を大流行させたことだという。
支離滅裂だ。
極めつけは、中国はマルクス・レーニン主義体制であり、習近平総書記はは全体主義のイデオロギー信奉者だと決めつけたところだ。
北朝鮮のプロパガンダならいざ知らず、自由と民主主義をうたう世界の指導国家がこんな外交演説をするとは、米国も行き着くところまで行った感がする。
それでも中国は譲らないだろう。
外交演説で中国を変える事が出来なければ、あとは軍事力しかない。
しかし米中戦争はあり得ない。
いまの中国に米国が戦争を仕掛けても勝てないし、たとえ勝っても犠牲が大きすぎる。
戦争しなければ米国の勝ち目はないのだ。
それでは米国はどうするか。
演説にあるとおり、対中包囲網の新たな同盟体制を築こうとする。
米国に呼びかけられた国々は皆、困る。
中でも一番困るのが日本だ。
その日本の困惑を示すように、ポンぺオ国務長官の演説に対して、政治家も識者もメディアも、誰一人としてコメントしていない。
今後、徐々に、皆が、周りを見ながら、当たり障りのないコメントを始めるだろう。
しかし、誰一人として正しいコメントをする者は出てこないだろう。
正しいコメントとは何か。
それは、いまこそ日米同盟から自立できる千載一遇のチャンスが来たということだ。
対米従属から自立して、憲法9条に基づいた共存共栄の平和外交を始めるチャンスが来た、ということだ。
これしかない。
しかし、残念ながら、その真逆に、「いまこそ日米同盟を強化すべき時だ」の大合唱になる。
戦後75年の日本外交の正念場である(了)
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