敵基地攻撃能力に関する議論に関し、またひとつ、極めて重要な記事を見つけた。
きょう7月23日の朝日と読売が報じた。
自民党のミサイル防衛に関する検討チーム(座長・小野寺五典・元防衛相)がきのう22日に第4回目の会合を開き、森本敏・元防衛相と河野克俊・前統合幕僚長から意見を聞いたという。
いずれも敵基地攻撃能力の保有が必要だとの考えを示したという。
そして、考えられる様々なオプションを述べたという。
そこまでは想定内だ。
しかし、私が注目したのは、森本氏も河野氏も、敵基地攻撃能力の保持について慎重な姿勢を示したことだ。
そして、私が最も注目したのは、日本が敵基地攻撃能力を持つことは、日米間の協議なくしては決められないと指摘したという現実だ。
出席者の中からも賛同者がいたという。
これは何を意味するのか。
ズバリ、米国の理解と支援なしには、日本は敵基地攻撃能力を持つことはできない、そんな事をすれば日本は危険な状況に置かれる事になる、ということだ。
なぜならば、敵基地を攻撃すれば、敵は必ず激しく報復して来る。
そうなれば、急ごしらえで防衛力をいくら強化しても、日本単独で敵のミサイル攻撃から日本を守る事は出来ない。
米軍に助けてもらわないと、いくら敵基地攻撃能力を強化しても日本だけでは守れないのだ。
何よりも、「米軍の報復がある」と敵に思い込ませる事こそ、敵が日本を攻撃することをあきらめさせる抑止力になる。
だから、その事を保証してもらうために、米国との協議が必要だと言っているのだ。
しかし、これほど米国の安保政策を読み間違った、滑稽な防衛政策の変更はない。
米国の目的は米国に代って日本を中国や北朝鮮と戦わせることだ。
オフショアバランシングだ。
その為に日本の防衛力を強化させ、米国の武器をどんどんと買わせる。
そんな米国が、在日米軍が攻撃を受けたなら別だが、日本の為に米軍を動かすはずがない。
米国は日本が頼まなくても日米協議を求めて来るだろう。
そして、そこで米国の中国や北朝鮮に対する防衛政策を日本に押しつけて来る。
もっと米国のミサイルシステムを導入しろと。
それで日本が守れるなら安いものではないかと。
下手をして中国や北朝鮮と戦う事になったとすれば、それは米国のミサイルシステム導入のせいではなく、日本外交の失敗の結果だ、自業自得だ。
そう突き放す。
それが米国の対日戦略である。
これまでさんざん煮え湯を飲まされて来たのに、なぜそんなわかりやすい米国の戦略が見抜けないのだろう。
お人好しでは済まされない外務・防衛官僚の劣化であり、政治家の劣化である(了)
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