きょう7月4日の日経新聞「真相 深層」に、「北朝鮮が恨む文氏の助言」という記事を見つけた。
ソウル発恩地洋介記者の書いたその記事の要旨はこうだ。
北朝鮮の怒りの原因をたどると、2年前の南北首脳会談で文大統領が金正恩委員長に伝えた助言に行き着くという。
すなわちあの時文在寅大統領はトランプ大統領を米朝首脳会談に引き込もうと寧辺(ニョンビョン)核施設の廃棄を金正恩委員長に強く求めたという。
それに従って金正恩委員長は共同宣言に「寧辺核施設の永久廃棄」と明記することに応じ、そして寧辺施設を廃棄した。
しかしトランプ大統領はそれは第一歩であって、それだけでは一切見返りを与えなかった。
そして第二回のハノイ会談でもこの姿勢は変わらず、一切の譲歩を示すことなく席を立ってしまった。
金正恩委員長にとってハノイ会談の破断の衝撃は大きく、帰りの特別列車では自室に閉じこもったままだったと関係者が明かしたという。
それなのに、文在寅大統領は米朝関係が行き詰った背景に外的要因を挙げるばかりで、みずから動こうとはしなかった。
この不作為が北朝鮮の信義を裏切ったというのだ。
体制批判のビラまきを許した事に腹を立てたのはその通りだが、それ以前に、文在寅大統領の米国に対する優柔不断の対応に怒りが積もっていたというのだ。
なるほど、これなら合点がいく。
そして金正恩委員長が軍事行動計画を保留した理由も頷ける。
金正恩委員長は文在寅大統領との関係を断絶するつもりはないのだ。
南北共同連絡事務所の爆破は、文在寅大統領に対して本気度を示せと迫まるメッセージだったのだ。
もちろん文在寅大統領も、何もしなかったわけではない。
ハノイ会談の決裂直後の2019年4月にワシントンに飛んで、寧辺廃棄を含む非核化措置と引き換えに南北経済協力を認めるように求めたがトランプ大統領が文在寅大統領を相手にせず、「いまは不適切」と一蹴されたのだ。
しかし、私から言わせれば、そこで、すごすごと引き下がったから、文在寅大統領はダメなのだ。
だから妹の金与正が金正恩委員長に代って怒りをぶつけたのだ。
あんたは一体、トランプ大統領と金正恩委員長のどちらの味方なのかと。
今日の報道では、文在寅大統領は幹部人事を一新して南北融和に向けて仕切り直しするつもりらしい。
しかし、人事を一新するぐらいでは駄目だ。
自分自身が覚悟を決めなければいけない。
いまや情勢はあの時から激変している。
ボルトンが暴露本を出してトランプ大統領を怒らせた。
ボルトンが暴露本を出して文在寅大統領を邪魔者扱いした。
いまこそ文在寅大統領はボルトンに対して怒りをぶつけるべきだ。
トランプ大統領と意気投合してボルトンを悪者にする絶好のチャンスだ。
うまくいかなかったのは、すべては戦争屋ボルトンのせいにするのだ。
金正恩もまたボルトンを罵倒して来た。
ボルトンさえ粛清すれば三方一両得になる。
ついでに、ボルトンの言いなりになった谷内正太郎NSC局長も罵倒し、谷内正太郎を首にした安倍首相を褒め殺すのだ。
そしてトランプ大統領を使って安倍首相を引きずり込めばいい。
俺の再選に貢献しろ、段階的非核化の見返りに北朝鮮を支援するから日本も金を出せと。
そうすれば念願の日朝首脳会談もさせてやると。
安倍首相も渡りに船だ。
そういって引きずり込めばすべては丸く収まる。
文在寅大統領はそこまでトランプ大統領に迫らなければいけない。
それでもトランプ大統領が一蹴するようなら、在韓米軍の負担は一切できない、在韓米軍は要らない、と言えばいいのだ。
そこまでの覚悟を見せてはじめて、文在寅大統領は金正恩委員長との信頼関係を取り戻せる。
文在寅大統領の正念場である(了)
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