何かにつけて反対の立場をとるこの国の右翼と左翼であるが、奇妙に一致する外交がある。
それは習近平の中国に対する反発だ。
最近の例でいえば、習近平主席の国賓訪日反対と、中国が香港の自由化活動を規制する「香港国家安全法」を制定したことだ。
なにしろ、朝日と東京が中国批判の先頭に立っている。
なにしろ産経新聞に日本共産党が褒められる珍現象が起きている。
しかし、日米同盟最優先からアジアとの共存共栄に舵を切るべきだと主張する私は、習近平主席の国賓訪日に賛成であるし、「香港国家安全法」の制定についても、日本が率先して批判すべきではない、日本は独自の対中批判のやり方があると主張して来た。
いくら人権の自由が重要であるとしても、他国の「譲れない国策」を批判するには、日本にふさわしい外交手法があると考えるからだ。
その観点から、私はめずらしく、安倍首相の対中外交を評価して来た。
そして、共同通信が6月7日に配信した「日本、中国批判声明に参加拒否 香港安全法巡り、欧米は失望も」という記事に注目した。
中国を厳しく批判する米国と英国に打診されて拒否したというのは、もしそれが事実ならよくやったと思った。
米、英連合は、香港の自由化については、偉そうに言える立場にはないからだ。
そして、同時に、日本は欧米諸国に追随しないという共同の報道はおかしいと思った。
欧州は香港問題で英米とまったく一致しているわけではないから、欧米諸国に追従という表現は不正確だと思ったからだ。
日本はむしろ独仏と共同歩調を取るべきだと考えたからだ。
そうしたら、安倍首相がきのう6月10日の衆院予算委員会で、香港国家安全法について次のような答弁をした事をきょうの報道で知った。
「日本がG7の中で声明を発出していくという考え方のもとにリードしていきたい」と。
これは豹変ではないのか。
日本がリードするのは天下の愚策だ。
香港問題は、日本は欧米の陰に隠れて批判するふりをしていればいいのだ。
安倍首相に自信があるなら、右翼の不満に耳を傾ける必要はなかったはずだ。
安倍首相が全盛期においては、右翼は不満があっても安倍首相に従ったものだ。
ましてや左翼の批判など安倍首相は無視してきたはずだ。
ところが豹変して中国叩きの先頭に立つと言う。
間違いなく安倍首相の指導力に陰りが見え始めたということだ。
今後安倍首相は、何かにつけて求心力を失っていくような気がする。
東京都知事選の後の政局は間違いなく混迷期に突入していく気がする(了)
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