政府と東京五輪大会組織委員会が、開催方式を簡素化してでも、来年夏の東京五輪開催を断行することを検討し始めた。
この大スクープを報じたのは、6月4日の読売新聞だった(メルマガ第316号)
もちろん、その背景には、5月29日に週刊フライデーが報じた、もはや延期後の東京五輪すら中止せざるを得ない状況にあるという極秘情報があったからだ(メルマガ第308号)。
中止されられぐらいなら簡素化してでも開催を目指すしかないというわけだ。
その時私は書いた。
この読売新聞のスクープは、単なるスクープではなく、政府関係者が書かせた観測気球記事に違いないと。
つまり、中止よりは簡素化されてもいいから実施したほうがいい。
そう国民が反応を示すかどうか、様子を見ようとしたのだ。
完全実施にこだわった安倍首相がそれを言い出すわけにはいかないから、新聞報道でその動きを書かせてまず世論の反応を見る。
そして世論は、簡素化してでも実施したほうがいいと反応するだろうから、それを見て安倍首相に翻意をさせればいい。
政府内部の誰かがそう動いてもおかしくない。
そして、この記事にいち早く前向きに反応したのが菅官房長官と小池百合子東京都知事だった。
それを見た私は、さては東京五輪の主導権を安倍首相から奪うための菅官房長官や小池百合子都知事の安倍降ろしではないのかと勘繰った(メルマガ第317号)
こんな面白い動きが起きたと言うのにメディアはほとんど反応を示さなかった。
そう思ったら突如として、きのう6月10日、国際五輪理事会(IOC)と東京都・日本五輪大会組織委員会が、五輪簡素化で合意したと発表した。
象徴的なのは、その事を記者会見で発表した森喜朗会長の自身にあふれたもの言いだ。
簡素化した東京五輪を来年7月に必ず実施して見せるといわんばかりだ。
間違いなく森喜朗元首相が安倍首相を説得したのだ。
賭けに負けるよりも、賭けのルールを変えて賭けに勝ちましょうとと。
私がここで言いたいのは、この一連の動きの中で、安倍首相の声も姿もまったく見えなかった事だ。
いつもの安倍首相なら、かならず自ら発表したはずだ。
これまで言っていた事と逆の事を言う時も、何の恥じらいもなく君子豹変してきた。
完全実施から簡素化へ急変しても、それを自分が主導していたら自ら売り込んだはずだ。
ところが今回だけはそれがない。
自分がマリオになってパフォーマンスしたような、そんな派手な真似が出来なくなったから興味をなくしたのか。
それもあるかもしれない。
しかし、私は、いよいよ安倍首相は首相としての指導力を失って来たのではないか、その表れが、安倍首相不在の中で急浮上し、そして決まった簡素化五輪ではないのか、そう気がするのである。
そして、安倍首相が指導力を失いつつある動きが外交面でも見られる。
その事については次に書いてみたい(了)
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