コロナ危機の中で米中対立がどんどん激しくなっている。
というよりも、トランプの一方的な中国叩きは異常だ。
コロナウィルスをチャイナウィルスと呼んで世界の災難は中国の責任だと言ったかと思うと、中国の感染者数は出鱈目だと非難し、そしてついにウィルスは中国の研究所から故意に流出されたものであると言い出した。
ここに至ってついにトランプは焦りを露呈したのだ。
中国の研究所からのウィルス流出疑惑を指摘した事で、トランプは最後の切り札を切った感がする。
というのも、先週の週刊プレーボーイ(4月27日号)で、元NHKのワシントン支局長でいまはフリージャーナリストの手嶋龍一氏が重要な事を指摘していたからだ。
すなわち、米国の細菌・ウィルス研究の第一人者である米コロラド大学名誉教授である杜祖健(英語名アンソニー・トゥー)博士にの存在に言及したのだ。
杜博士は台湾出身の1930年生まれであるという。
1984年から2007年まで米国防総省の細菌・ウィルスチームのトップアドバイザーを務めた人物であるという。
オウム真理教によるサリン事件でもサリンの検出・分析に協力し、日本政府から旭日中授章を受けた人物だという。
2017年にマレーシアで起きた金正男氏暗殺に際しては実行犯のVXガス生成方法を最初に見破った事でも高い評価を受けた。
その杜博士が、「新型コロナウィルスは中国・武漢のP4研究室(武漢国家生物安全実験室)の関連施設から、研究段階のものが不手際で外部に漏れたと考えるのが自然だ」と複数のメディアのインタビューで語っている事を手嶋氏は教えてくれている。
トランプが強気になる理由は、ここにある。
しかし、この情報戦、暴露戦にトランプは勝てないだろう。
チャイナウィルスを叫び続けると世界から非難を浴びる。
数字をごまかしたと批判しても、すでに中国は一部間違いだったと認めている。
誰でも間違いはある、それどころかウソをつくことはお互い様だと反論すれば相討ちだ。
ウィルス流出説に至っては、米国自身が生物化学兵器の開発競争を中国と競い合い、スパイ合戦をしている事を白状するようなものだ。
中国が、故意に流出させたなどと認めるはずがない。
ウィルス研究を認めた上で、我々は厳格な管理制度がある。学生および所員で感染した人は一人もいないと疑惑を全面否定した。
これを要するに、米中間で猛烈な覇権争いがコロナ危機の中で繰り広げられているのだ。
しかし、このままでは、つまり抗体やワクチンや治療薬が劇的に見つからない限り、コロナ感染で負けるのは米国だ。
中国は既にウィルスを克服したと宣言し経済活動を再開した。
もし中国がウソを言っているとしたら、必ず感染が再発し中国は崩壊する。
そんなリスクを中国はおかさないだろう。
その一方でトランプは米国経済のこれ以上の落ち込みを恐れて無理やり経済活動を再開しようとしている。
コロナ感染を克服できていないにもかかわらず、である。
そして自らの支持者の多い州で自粛反対デモを起こさせ、国を分断させている。
米国の象徴であるニューヨーク州が苦しんでいると言うのにである。
すべては11月の大統領選で勝つための焦りだ。
私欲を公益に優先させている。
繰り返していう。
抗体かワクチンか治療薬が劇的に発見されない限り、米国はコロナ対策で中国に負ける。
米国の軍事力も中国の軍事力にますます肉薄される。
日米同盟一辺倒では日本の将来は間違いなく危うい(了)
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