米国とイランの瀬戸際外交はおさまるどころか激しさをます一方だ。
たまりかねたグテレス国連事務総長がきのう6日、これ以上ない強い言葉で危惧を表明した。
危機は今世紀最大のレベルに達していると。
まさしくその通りだ。
世界中がそう思っている。
ところが、安倍首相は自衛艦船の中東派遣も、自らの中東訪問も、予定通り進めると表明した。
考えられない対応だ。
誰が考えてもおかしいだろう。
子どもでもわかるくらいだ。
自衛艦船の中東派遣は、日本のタンカーを何ものかの攻撃から守るためだ。
しかも、米国とイランの戦争に巻き込まれないために調査・研究・情報調査にとどまる派遣だ。
しかし、もはや何ものかではない。
米国かイランだ。
そしてその米国とイランが戦争を始めようとしている。
派遣される2月初めには戦争が始まっているかもしれない。
そんなタイミングで、戦争の本場に、日本の自衛艦船を調査・研究・情報収集のために派遣する意味がどこにあるというのか。
しかも安倍首相は予定通り11日から15日までサウジアラビア、オマーン、アラブ首長国を訪問することにこだわっている。
これは米国のスレイマニ司令官殺害前に決められたお正月休みを利用した、日本から逃げる外遊だった。
ところがスレイマニ殺害で状況は一変した。
無意味な外遊どころではなく、身の危険すらある外遊になった。
おまけに、サウジアラビアなどから、いまはそれどころではないと訪問延期を求められるおそれすらある。
そうなったら外交センスの無さを世界に笑われるだけだ。
ワシントンやテヘランに行けと繰り返すつもりはない。
自らの無力を知ってそれをしないのなら笑って済ませる。
しかし、少なくとも中東訪問は延期すべきだ。
日本ですることはいくらでもある。
降って湧いたゴーンの逃亡劇が佳境に入って来た。
情報合戦に負けないように、みずから陣頭指揮をとったほうが中東にいくよりはるかに日本のためだ。
なぜメディアはこの安倍首相のあまりにも間違った外交を批判しないのか。
いくら忖度するといっても、この外交だけはおかしいと言わなければいけないだろう。
国民のためだけではなく、安倍首相のためにもそう書くべきだ。
そう思ってきょうの各紙を読み比べていたら、あった!
毎日新聞の古賀攻専門編集委員が「水説」と言うコラムで書いた。
派遣の前提が変わった。
最低でも閣議決定によって派遣は白紙にし、20日に始まる通常国会で愚論を尽くす必要があると。
イランと不仲のサウジアラビアを訪問する事は仲介者がすべきことではないと。
そして、最後にこう結んでいる。
いまこそ日本の出番だと。
その通りだ。
きのうのメルマガで私が書いた通りだ。
まさしく、これが、まともな人間の考えることだ。
果たして他のメディアも古賀専門編集委員の後に続くだろうか。
与野党の政治家の中からそれを言い出す者が出て来るだろうか。
そして何よりも安倍首相がその意見に耳を傾けるだろうか。
まだ間に合う。
悪い事は言わないから、安倍首相は考えを変えるべきだ。
もし、このまま、自衛艦船の中東派遣も、11日からの中東訪問も、突き進むのなら、旧帝国陸海軍と同じだ。
「失敗の本質」をくり返す事になる。
長期政権の果てがそれでは、あまりにも情けない(了)
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