一連の国連外交を終えて安倍首相が帰国した。
トランプ大統領との日米貿易交渉で「ウィン・ウィン」という譲歩を飲まされ、ベルギーにまで足を延ばして中国包囲網の協力を求めるなど、およそ評価できない外交の連続だったが、米国とイランの仲介外交は悪くはなかったと私は思っている。
私でも褒める時は褒めるのだ。
報道によればこうだ。
トランプ大統領との首脳会談に先駆けて安倍首相はロウハニ大統領と会って、サウジ石油施設への攻撃を厳しく批判したらしい。
仕方がないだろう。
米国だけでなく英仏独までもがイランの責任を口にし始めたのだ。
しかし、その時、「フーシによる攻撃との見方を疑う指摘が数多く出ている」と、イランを批判しない形で懸念を表明した。
それでいいのだ。
そして、その後でトランプ大統領と会談した時、イランの責任について米国に同調しつつも、中東情勢の緊張緩和と情勢安定にむけた米国の役割に期待し、その一方で、ホルムズ海峡の米国の安全保障構想への確答を避けた。
内容が何もない、ごまかしの外交だ。
そして、それが正解なのだ。
今回の安倍中東外交について、9月28日の毎日新聞の社説が「主体性を発揮しているのか」と批判していた。
中東は日本にとっての最大の資源供給地域だと。
だから日本はもっと主体的に動けと。
イラン核合意から一方的に離脱したトランプ大統領を説得して交渉の席に戻る働きかけを行うとともに、イランに対しては親イラン武装組織への支援を改めて対立解消に向けた努力を促すべきと。
とんでもない。
そんなことを日本が言ったところで何の影響力もなく、下手をすれば、命がいくつあっても足りなくなる。
これでいいのだ。
願わくば安倍首相にはこうしてほしかった。
すなわち、日本国民の生活のために、一時的にせよイランからの輸入を増やすことをトランプに認めてもらうべきだったのだ。
米国産トウモロコシを緊急輸入したから、それぐらいいいだろうといって。
そして、ロウハニ大統領には、イランの要求する制裁解除に日本は協力したと恩を売る。
そこまでやれば日本の対中東自主外交は上出来だ。
日本の中東外交はそれで十分である。
安倍首相は正しい対アジア外交に専念すべきである(了)
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