出口の見えなくなった日韓関係であるが、いやでも解決せざるを得ない時が来る。
それは、日朝国交正常化が実現する時だ。
これは、元外務省分析官である佐藤優氏が最近メディアで繰り返している見解だ。
謎解きのような言葉だが、きょう9月15日の産経新聞「世界裏舞台」で、佐藤優氏は見事にその謎を明かしてくれた。
彼はその寄稿の最後にこう締めくくっている。
「・・・1965年に締結された日韓基本条約第3条では、『大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(Ⅲ)に明らかにされているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される』と規定されている。
日本が北朝鮮と国交正常化するということは、朝鮮においては大韓民国だけではなく、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も合法的政府であることを認めることになる。従って、日韓基本条約の改定が不可欠になる。この時に日韓関係が全面的に見直され、新たなゲームのルールが構築されることになる」
これはものすごい指摘だ。
安倍首相や外務省は果たしてこの日韓基本条約第3条の存在を知っているのだろうか。
もし、知っていたなら、「韓国は国際ルール違反だ。まず、それを改めよ」などと傲慢に言い続けられるはずがない。
なぜならば、慰安婦や徴用工問題のもとになっている日韓請求権協定の母体は日韓基本条約であるからだ。
日韓基本条約の改定と同時に、それに付属するあらゆる協定は見直さざるを得なくなる。
言うまでもなく、国際法は国際政治によって変わる。
そして安倍首相は北朝鮮との国交正常化を行って国際政治を変えようとしている。
まさしく、安倍首相が文在寅大統領に向かって、馬鹿の一つ覚えのように、「まず韓国が国際法をまもらなければいけない」という言葉は、天に唾する言葉なのだ。
しかもである。
佐藤優氏は日韓関係が改善するとは言っていない。
「あらたなゲームのルールが構築される」と言っているのだ。
もしこのまま安倍政権が続けば、韓国も北朝鮮も中国と近づいて、対米従属の日本を敵視する事になるおそれがあると言っているのだ。
悪い事は言わない。
安倍首相はトランプが金正恩とディールする前に、日韓関係を改善し、同時に北朝鮮との国交正常化交渉を急ぐべきだ。
もし安倍首相が日韓基本条約第3条(Ⅲ)の存在を知らずに、「韓国は国際法を守れ」と繰り返しているとしたら、それを安倍首相に教えない谷内正太郎や外務官僚とともに、まるで皆が、歴史に目を閉じたままの道化師だということである(了)
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