NHKが、衝撃的な昭和天皇の告白を突然公表したのは8月16日夜9時のニュースウオッチ9だった。
しかし、それから10日経って、まるで腫物に触るように、誰もその告白に言及することなく見事に封印された。
これでは、この国に民主革命は未来永劫起こらない。
そう思っていたら、きょう8月26日の産経新聞が寝た子を起こしてくれた。
どういう意図に基づいて書いたのかわからないが、10日遅れで昭和天皇の告白について次のように論評してくれたのだ。
「昭和天皇は、領土の一部を失ったことや、戦死傷者や日本への帰還者など戦争の犠牲者のことを思われ、主権回復について『少シモ喜ブベキデナイ』と、複雑な心境も語られた。日本や国民を第一に思われるお人柄が改めて分かる」と。
「ご自身の戦争への反省、悔恨に加え、軍や政府、国民についても、『皆反省して繰り返したくないものだ』とも述べられた」と。
「その天皇が、主権回復を前にした昭和27年(1952年)頃、日本の再軍備やそのための憲法改正の必要性に言及された意味は極めて重い」と。
そして、こう締めくくっている。
「戦争の反省と再軍備の間に矛盾はない。天皇は 『国政に関する権能を有しない』(憲法4条)が、現憲法でも日本の立憲君主だ。命令ではないお考えを首相に内々に伝えることまで禁じると解するのは行き過ぎだ。田島長官のいさめで実現しなかったのは残念だった」と。
まさか、これが安倍首相の代弁ではないだろうな。
そうではなく、これが産経の本音ならまさしく反動・右翼だ。
いいだろう。
産経がここまで書いたのだ。
ならばリベラルの朝日や東京は書かなくてはいけない。
昭和天皇の告白は日本の戦後史を根底から覆すものだと。
いまこそ、日本の戦争責任や天皇制の是非について、そして憲法9条と日米安保の矛盾について、なによりも民主国家としての戦後の日本のあるべき姿について、国民的議論を行うべき時だと。
そして、何よりも、この国の政治家たちは、NHKに対して「拝謁記」の全面公表を求め、来るべき国会で一大論議を提起すべきだ。
産経新聞の社説は寝た子を起こしてくれたのだ。
それでも何の議論も起こらないようでは日本の民主化はあり得ない(了)
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