いくら安倍首相が無条件に会いたいと言ってみても、そしてトランプ大統領に会わせてくれと懇願しても、金正恩委員長は安倍首相には会わないだろう。
その最大の理由はもちろん拉致問題にある。
拉致被害者を全員、即時、生きて返せ、と要求し続ける限り、金正恩委員長が安倍首相に会う事はない。
しかし、それ以上にやっかいな理由がある。
それは、金正恩委員長が安倍首相とトランプ大統領の寵愛を競っているからだ。
シンガポールでのはじめての米朝首脳会談以来、金正恩委員長はトランプ大統領との友好・信頼関係を唯一の頼みとして北朝鮮の体制保証を実現しようとしてきた。
だから、ベトナムでの二度目の米朝首脳会談が決裂しても、ボルトンやポンペイオを批判しても、決してトランプ大統領を批判する事はなかった。
いまでもそうだ。
そしてトランプ大統領も、見事に金正恩委員長の求愛に優しく応えている。
北朝鮮のミサイル発射は国連決議違反だとボルトンが批判しても、すかさず、「私を困らせていない」とつぶやいた。
そして、金正恩委員長は、そのトランプ大統領のつぶやきと同じタイミングで、安倍首相を酷評した。
すなわち北朝鮮の朝鮮中央通信は26日、拉致問題の解決を目指す安倍首相を、
「日帝の過去の犯罪に対する歴史的責任を回避し、自分たちの対朝鮮敵視政策を正当化している」、
「安倍一味こそ、最も破廉恥で悪辣極まりないペテン師と謀略の名手だ」
などと口を極めて批判した。
この批判のタイミングは、トランプ大統領が国賓訪日しているタイミングとも無縁ではない。
安倍・トランプの緊密な関係をここまで見せつけられて、金正恩委員長は安倍首相の嫉妬しているのだ。
これを要するに、金正恩委員長と安倍首相はトランプ大統領の寵愛の奪い合い競争をしているのだ。
これでは安倍首相と金正恩委員長の直接会談は望めない。
それにしてもトランプ大統領は女たらしだ。
何度も離婚を繰り返し、醜聞が暴かれても、びくともしない。
ついに政敵の民主党ペロシ下院議長までたらしこんで、弾劾を回避しようとしている。
ロシア疑惑を乗り切ってトランプ大統領の再選間違いなし、ということになれば、安倍首相はますますトランプ大統領にメロメロになって、菅官房長官が総理になるのはまだ早いと言い出すに違いない(了)
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