NHKの朝6時のニュースが流した。
JOC(日本オリンピック委員会)会長の竹田恆和(たけだ つねかず)氏が辞任する見通しになったと。
これは衝撃的な大スクープだ。
はたして今日のメディアはこの問題をどう報じ、解説者はその背景をどう説明してみせるだろうか。
表向きは五輪買収疑惑の引責辞任だ。
何としてでも東京五輪を成功させたい安倍政権にとって、この疑惑を引きずるわけにはいかない、そういう解説がなされたら、世論も納得する。
あるいは、竹田氏の訴追が濃厚になり、その前に辞任させて恭順の意を示し、訴追を宥恕してもらうということなのか。
しかし、五輪に金が動くことはつきものであり、それが黙認されてきたことも暗黙の了解のはずだ。
しかもコンサルタント料の支払いが竹田会長の一存で行われたはずがない。
あの時、東京五輪招致は国策だった。
官民一体となって招致に奔走した。
竹田氏はいわばその先頭に立って活動し、誘致を成功させた功労者だ。
その竹田氏が買収容疑で責められるなら、それは安倍政権が責められることでもある。
安倍首相は最後まで竹田氏を守る必要があったはずだ。
実際のところ竹田氏への追及は、少なくとも国内的には終わっていた。
もはや日本のメディアで竹田氏を追及するものはとっくになくなっていた。
それが突如として、辞任は避けられない、というNHKの衝撃スクープだ。
一体どういうことか。
一つの理由は、日本ではほとんど報じられないが、フランス司法当局の追及が続いていて、竹田会長の責任追及が避けられないという事情があるのかもしれない。
そうなれば東京五輪にも響く。
それだけは安倍政権としても避けなければいけない。
ここはひとつ東京五輪の成功という大義の為に、忍び難きを忍んで辞任してくれ、どのような見返りも約束するから了解してくれ、と安倍首相が竹田会長に貸しをつくったのかもしれない。
しかし、私がどうしても想起してしまうのは、ゴーン事件との関連性だ。
仏司法当局が竹田会長を買収容疑で取り調べているという衝撃的ニュースが流れたのは、ゴーン事件が発覚して日本の人質司法がとり沙汰されはじめた直後だった。
そして今ゴーン事件は、ゴーン氏の追放劇が終わり、日産の支配を巡った主導権争いの段階に突入した。
ルノーの大株主である仏政府は、仏政府の関与を隠すことなく公然とルノーの主導権を主張して来た。
その一方で安倍政権は企業同士の話だと一貫して中立を装って来た。
しかし、ここにきて日本政府の関与がばれそうになってきた。
もし裏で日本政府が人質司法に関与していた事が明らかになれば、安倍首相に対する国際批判は必至だろう。
ゴーン事件が自分の身に降りかかってこないように、竹田会長の辞任と引き換えにフランス司法当局とフランス政府にこれで勘弁してくれとシグナルを送ったのではないか。
私にはそう思えくるのである(了)
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