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安倍外交の腰砕け振りを象徴する二つの「先送り」外交

 もはや安倍外交には何の理念も目標もない。

 それどころか、一貫性もない。

 これはもう外交の崩壊だ。

 そう思わせる、ふたつの「先送り」外交を報道で知った。

 ひとつは、きのうの産経がスクープ報道し、各紙がきょうの紙面で一斉に後追い記事を書いた国連人権理事会に対する北朝鮮非難決議案の「先送り」だ。

 日本はこれまで11年連続して欧州連合(EU)と共同して北朝鮮の人権侵害非難決議案をジュネーブの国連人権理事会に提出して来た。

 ところが、今年はその提出を見送る事にしたというのだ。

 その理由があまりにも情けない。

 金正恩委員長との首脳会談実現の妨げにならないためだという。

 人権侵害非難決議案の提案を見送ったくらいで、金正恩委員長が安倍首相に会うと思っているのだろうか。

 金正恩委員長が安倍首相に求めているのは、歴史を直視し、北朝鮮との正しい関係を樹立することだ。

 そして、対米従属を止めて経済制裁を緩和・解除することだ。

 この仏のいずれも拒否し、米朝首脳会談の足を引っ張ることばかりしている安部首相に、金正恩委員長が会うというのか。

 まるで独り相撲だ。

 そしてもうひとつの先送りがある。

 それは二日前の3月12日に日経新聞がスクープ報道した、習近平6月来日の「国賓」待遇「先送り」である。

 このスクープ記事は、その後どの新聞も後追い記事を書かない。

 だから日経新聞の先走り記事かも知れない。

 しかし、まったく根拠のない事を日経新聞が書くはずはない。

 間違いなく習近平主席の「国賓」先送りは検討されているに違いない。

 そして日経新聞が報じる「先送り」理由があまりにも対米従属的である。

 トランプ大統領を国賓にした直後に習近平主席を国賓で迎えるなら、トランプ大統領に非礼だ、というのだ。

 何という腰砕け振りだ。

 いや、腰砕けというより外交音痴でしかない。

 安倍首相は、わざわざトランプ大統領を新天皇の最初の国賓として招待する事を決めた。

 それだけでトランプ大統領は十分なのだ。

 その後に誰が国賓になろうと、トランプ大統領は関心ない。

 そもそも、儀礼よりも実利を優先するトランプ大統領にとっては、国賓かどうかなど、大した問題ではないのだ。

 しかし中国の習近平主席は違う。

 日経のスクープ記事を見て、非礼な安倍首相に激怒して来日を「先送り」すると言って来たのではないか。

 だから日経新聞のスクープがまぼろしのスクープではなく、誤報に終わろうとしているのではないか。

 官邸と外務省はあわてて中国政府と調整しているのではないか。

 安倍外交のお粗末さをいかにも象徴するような二つの「先送り」外交である(了)

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