2月24日は沖縄で辺野古移設の賛否を問う県民投票が行われる日である。
しかしその日は同時に天皇在位30年を祝う式典が行われる日である。
その事を新聞報道の小さな記事で知った私は、その日の2月5日のメルマガ第87号で書いた。
なぜメディアは天皇在位30年式典の事を大きく報じないのかと。
辺野古移設の是非を問う住民投票と同じ日に祝賀式典を行うのは天皇を悲しませるだけではないかと。
ところが、それ以来、沖縄住民投票に関する記事は毎日のように報じられるのに、天皇在位30年記念式典に関する記事は皆無だ。
ましてや、私のように、天皇在位式典に疑義を持つ識者の意見はどこを探しても見当たらなかった。
そう思っていたら、きょう2月16日の東京新聞が大きく報じた。
祝賀式典の正式名称は政府主催による「天皇陛下御在位30年慶祝行事」であると。
天皇皇后両陛下の御臨席のもと、各界の皆様が出席して、東京・国立劇場で2月24日の午後2時から執り行われると。
なんと、沖縄の住民投票が行われているその真っ最中に、そしてその結果を皆が固唾を飲んで見守ってる真っ最中に、祝賀式典が行われるのだ。
しかし、私が驚いたのは、その内容ではない。
この東京新聞の記事が、東京新聞の取材記事ではなく、安倍政権の下で税金を使って行われた政府広報だったことだ。
それに気づいて他の主要紙を見比べてみると、この政府広報を掲載したのは東京新聞だけである。
他の大手紙はなぜ掲載しなかったのか。
明日の新聞で掲載するのだろうか。
それとも内閣府は東京新聞だけに広告を出したのか。
あるいは東京新聞への広告を先行させて様子を見たのか。
東京新聞は広告依頼を内閣府から受けた時、他紙にも広告を依頼したかどうか、確かめなかったのか。
いずれにしても、きょうの東京新聞だけがひとり天皇在位30年記念の政府広報を大きく掲載した。
政府広報を掲載するなとは言わない。
広告収入も新聞社にとって重要な収入源だ。
しかし、その前に東京新聞がする事がある。
すなわち天皇在位30年記念式典について、取材報道し、その適否について社の意見を書くべきだ。
天皇在位30年記念式典の政府広報を、ひとり今朝の紙面で掲載した東京新聞の真意を私は訝しく思う(了)
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