朝鮮半島の非核化はもはや不可逆的だ。
しかし、その後にくるのは米中対立という、冷戦後の国際政治の最大のテーマだ。
そしてそれはもうすでに始まっている。
情報月刊誌ファクタの6月号に次のような記事を見つけた。
4月27日の南北首脳会談の時、文在寅大統領は米朝首脳会談では朝鮮戦争の終結が議題になるかも知れないと語った。
その場合は米朝首脳会談は、韓国を入れた三者会談、あるいは中国を入れた四者会談になるかもしれないと言った。
それを聞いた習近平主席が激怒したというのだ。
朝鮮戦争を戦った北朝鮮の後ろ盾は中国だ。
その中国をさしおいて、米朝会談に韓国が先に加わるとは何事だ。
順序が逆だ。
それを言うなら米中と北朝鮮の三か国、場合によってはそれに韓国を入れた四カ国首脳会談だろう、と。
中国の巻き返しはその時から始まった。
二度目の中朝首脳会談が急きょ行われ、シンガポールに向かう金正恩への中国政府専用機の提供があり、そして今度の三回目の中朝首脳会談だ。
北朝鮮の非核化と、その見返りとしての制裁解除は、中国抜きにはあり得ないというわけだ。
私が米朝首脳会談は、事実上の米中首脳会談だと書いたのも、そういう意味だった。
おりから米中はいま貿易問題で対立している。
外交・安保ではもっと激しく対立している。
南シナ海や台湾問題がそうだ。
6月18日の時事が配信し、毎日新聞が報じた。
中国は新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」を近く実戦配備すると。
東風41の最大射程は1万2000キロであり、北米全域に届く。
移動式の多弾頭型で迎撃は困難だという。
北朝鮮の核の脅威など米国にとって北朝鮮に対する圧力の口実でしかないが、中国の米国に対する脅威は本物だ。
そして、ついにトランプ大統領は18日、「宇宙軍」の創設準備に着手するよう国防総省に命じた。
これは、いまや財政的に単独で宇宙ステーションを維持できる国は中国だけになってしまった事への巻き返しだ。
宇宙を軍事的に牛耳られては、米国の軍事覇権はあり得ないからだ。
かくして、朝鮮半島の非核化の後は米中対立が本格化する。
対米従従属の日本が本当に追い込まれる時はその時だ。
安倍首相ではもちろん中国と敵対するほかはない。
しかし、安倍首相が替わっても、米中軍事対立に正しく対応できる日本の首相は現れそうもない。
米中の軍事対立に正しく対応できる日本の首相は、憲法9条を国是として何よりも最優先し、いかなる軍事覇権国に対しても軍事力の行使を否定できる首相の他にない。
それこそが、新党憲法9条が目指す指導者である。
それを言い出すものが、今のうちに、政治の中から出て来なくてはいけないのである(了)
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