「朝鮮戦争が終結し平和協定が結ばれれば在韓米軍を正当化するのが難しくなる」
これは4月30日に発行された米外交誌「フォーリンアフェアーズ」に掲載された文在寅韓国大統領の外交ブレーンである文正仁統一外交安保特別補佐官の寄稿文の中の言葉であるという。
ところが文在寅大統領はこれを否定し、「在韓米軍は米韓同盟の問題であり、平和協定とは関係ない」とする公式発表をしたという。
なぜだろう。
外交ブレーンの方が正しいというのに。
この文在寅大統領の否定発言の裏にはもちろん理由がある。
米朝協議を目前にしてトランプ大統領を刺激したくないのだ。
国内の野党(保守)の反対を抑え込む必要もある。
ひょっとして、中国のアジア支配をけん制する狙いもあるのかもしれない。
しかし、本当の理由はこれに違いない。
そう私に思わせる記事を、きょう5月3日の東京新聞「木村太郎の国際通信」(朝鮮半島の『外国軍』)の中に見つけたので紹介したい。
すなわち木村太郎氏はこう教えてくれている。
1953年に結ばれた休戦協定には次のような条項があるという。
「朝鮮(半島)問題の平和的解決を保証するため、双方の軍司令官はそれぞれの関係諸国に対して、この休戦協定が調印され発効の後三か月を経たぬ内にそれぞれの代表による高級レベルの政治会談を開催し、朝鮮からすべての外国軍の撤退と朝鮮の問題の平和的解決について協議する」(4条60項)
そして木村氏はこう解説して見せる。
2018年4月27日の板門店宣言で明記されている南北米三者、または南北米中四者というのは、この1953年の休戦協定で定めた「関係諸国による会議」ではないのかと。
もしそうだとすれば、南北首脳は板門店宣言で、今年中に朝鮮半島から外国軍の撤退について討議を始めると宣言した事になると。
そして、いまや朝鮮半島においては、朝鮮戦争時の国連軍に参加した16カ国は米軍をのぞいて撤退し、北朝鮮側についた中国軍も撤退しているから、外国軍は米軍だけになると。
つまり、木村太郎氏は、韓国がいま性急に在韓米軍撤退を持ち出さなくても、来るべき米朝首脳会談で金正恩委員長が、「非核化」の完全コミットと引き換えに、体制保証すなわち在韓米軍の撤退を休戦協定を根拠に要求することは十分予想できると書いているのだ。
そして、木村太郎氏は書いていないが、私はトランプ大統領はあっさりとそれに応じると思う。
なぜならば、朝鮮戦争が終結してしまえば、米軍のアジア駐留は日本だけで十分であるからだ。
中国へのけん制と世界戦略の拠点としての役割は、在日米軍を強化する事によって十分であるからだ。
そして現実に冷戦後は在日米軍強化が進み、安倍政権かで加速している。
木村氏はこう締めくくっている。
「今後極東の米軍の在り方が劇的に変化し、日本の安全保障にも影響を及ぼすことになるのかもしれない」と。
もっとはっきり書くべきだ。
辺野古移設はその為だと。
日本は未来永劫に在日米軍の支配から逃れられなくなると。
安倍首相のおかげで日本は対米自立においても韓国に先を越される事になると。
これこそが国民が知らなければいけない目の前の危機である。
憲法9条が悲鳴を上げている。
いまこそ新党憲法9条である(了)
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