従属外交と言えば日米外交の事であると相場は決まっている。
しかし、ついに日本は中国にも外交的に屈服する事になった。
それを見事に象徴したのがきのう4月15日に行われた河野外相と王毅外相の日中外相会談だ。
そのことを報じる読売新聞の記事は冒頭にこう書いている。
「(今度の外相会談で)全面的な関係改善を進める事を確認し、安倍首相が目指す首脳間相互往来の実現に弾みをつけた。ただ、沖縄県の尖閣諸島をめぐる問題など火種は残っており、対北朝鮮政策でも圧力維持を唱える日本と、対話を優先する中国の隔たりは大きい」
何と言う矛盾した記事だ。
基本政策において大きな立場の違いがあるというのに、関係改善に弾みがついたと書くしかない。
この苦しい読売新聞の記事の中にこそ、今の日中関係の現実があるのだ。
今度の外相会談は、いまや世界の大国となって米国と対等にせめぎ合っている中国と、いまや世界から孤立し、中国との関係改善にしか活路を見いだせなくなった日本という、圧倒的に中国が有利で日本が不利な状況で行われた。
中国にとっては、日中関係の改善はあったほうがいい、程度の問題だ。
だからこそ王毅外相は、「日本の姿勢が前向きになって来た」、などと上から目線の物言いをしたのだ。
それでも日本は中国外相の訪日は8年ぶりなどと言って喜ぶしかない。
安倍首相は、その任期のうちに、どうしても習近平主席と安倍首相の相互訪問を実現しなければいけないのだ。
おまけに、緊張関係にある米中関係が、いつ何時、取引関係に転じてもおかしくない。
安倍首相としてはこれ以上はしごを外されてはたまらないのだ。
見せかけでもいいから、どうしても日中関係を改善したものにしておく必要が安倍首相にはあるのだ。
特に北朝鮮問題で日本は中国との関係改善が不可欠だ。
そして、その北朝鮮問題についても、3月28日に行われた金正恩の電撃訪中について、王毅外相が日本に来て報告したのはやっと4月15日になってからだ。
他の主要国にはとっくに報告しているというのにである。
ここまで中国と日本の外交的力関係が逆転してしまったのだ。
ついに中国に対しても日本は従属関係になってしまった。
その事を象徴する河野・王毅外相会談だったのである(了)
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