きょうの各紙が一斉に書いた。
青森県を訪れた小野寺防衛相は、三村青森県知事や漁業関係者らと面談し、米軍機が漏らした油の影響で受けた損害賠償について、「誠意をもって適切に対応したい」と回答したと。
しかし、これを報じる記事の中で、米軍の賠償負担について書いた記事は皆無だ。
日米地位協定によると、米軍側に100%責任がある場合でも、日本がその賠償を一部負担する事になっている。
その事自体が「不適切」であるのに、メディアは、日米地位協定がこんな理不尽な取り決めであることを、決して国民に知らせようとしない。
しかし、メディアが知らせようとしないのはそれだけではない。
もっと深刻な現実こそ、決して伝えようとしないのだ。
それは何か。
米軍は、日米地位協定で定められている米軍の損害賠償負担分さえも、びた一文支払わないに違いない。
もし、それが現実であるなら、国民は何と思うだろう。
私は、今度のシジミ漁に与えた被害の賠償について、米軍は払う気はないと思っている。
かつて大問題になった沖縄返還時の密約のひとつが、本来は米国が負担する事になっていた返還基地の原状復帰経費を、日本が肩代わりする、というものだった。
こんな事が国民に知れたら、ふざけるな、という事になる。
それをおそれたから、政府・外務省は密約でごまかそうとしたのだ。
しかし、沖縄密約はほんの氷山の一角であり、思いやり予算から始まって、土地の使用代に至るまで、ことごとく米軍は合意に反して支払いを拒んでいる。
その不都合な現実は、政府関係者の間では皆知っていることだ。
そして、政府関係者が知っている事は、メディアもまた知っている。
小野寺防衛相の言う「適切に対応する」という意味は、一日の売り上げが200万円以上になるという(2月25日毎日)損害の、どこまでを政府が補償するかという事であって、決して米軍にどこまで負担させるか交渉するという事ではないのだ。
日米関係は根本的に「不適切」な関係なのだ。
その事に一切触れない大手メディアもまた、メディアとしてあまりにも「不適切」である(了)
漁業補償の前に、捨てた燃料タンクや油の回収は自衛隊員が担当してましたね。米軍は一切知らんぷり。
(自分は矢部宏治氏の本を読んだので、米軍がこういう対応になるのは論理的には理解できます(倫理的には承認できない))