いまでは唯一の反権力雑誌といっていい「紙の爆弾」(鹿砦社)という月刊誌がある。
その最新号(7月号)に、「アベ改憲策動の全貌」という渾身の特集記事を見つけた。
その内容はあまりにも衝撃的だ。
「紙の爆弾」7月号は、安倍改憲を阻止したいと考えている国民にとって必読である。
これを読むと、もはや安倍改憲を阻止することなど、いまの政治状況を考えると絶望的であることが良くわかる。
ひとつは本間龍という記者が書いた、国民投票と国政選挙の違いである。
すなわち、国民投票は国政選挙と違って公職選挙法による規制が何もない、だから資金力と国家権力を握った安倍自民党が圧倒的に有利だ、電通を使って事前に周到なプロパガンダができるからだ、という記事だ。
私はかねてから、いくら改憲議員が三分の二を超えて改憲発議をしても、最後は国民投票が決める、だから国民に憲法9条の大切さに気づかせれば、国民の過半数の反対で改憲を阻止できる、それは可能だ、と主張してきた。
それがいかに幻想であるかを本間記者は見事に解説してくれている。
衆院選と同時に国民投票が行われれば改憲は防げない。
安倍首相が狙っているのはまさにそれなのだ。
二つ目は黒藪哲哉という記者が書いた、大手新聞が安倍政権に逆らえない本当の理由、である。
それは「忖度」とか「空気を読む」といったものではなく、絶対服従しなければならない明確な理由があるのだ。
すなわち、企業として存立を続けなければいけない大手新聞は、一方において、広告費の恣意的配布と消費税軽減というえさをぶら下げられ、他方において、押し紙(販売部数のごまかし)を摘発するという脅しをちらつかされて、もはや安倍政権に抵抗できなくなっているという記事だ。
安倍政権から恫喝されているのは、小選挙区制の導入によって政治生命を握られた政治家や、人事権を握られた官僚だけではない。
大手新聞もまた恫喝されているのだ。
安倍首相に逆らったら、経済的に存続できないのだ。
忖度という生易しいものではなく、命令であり服従である。
三つ目は、大山友樹という記者が書いた、安倍改憲を認めざるを得ない創価学会・公明党の実態である。
確かに公明党はいまのところ安倍首相が目指す東京五輪までの改憲について、時期にこだわるべきではない、と反対している。
自衛隊合憲を明記するという公明党の加懸案を安倍首相が取り入れたというのにである。
しかし、最後は、安保法や共謀罪のように、創価学会・公明党は必ず安倍改憲に協力する、そう大山氏は書いている。
その理由が、公明党もまた安倍首相に恫喝されれば従わざるを得ないからだというのだ。
すなわち創価学会・公明党には、憲法の定める政経分離違反という批判が常に付きまとう。
おまけに、かつて矢野絢也元公明党委員長がその著書「乱脈経理」(講談社)で暴露した税務調査妨害のトラウマが、今でも残っているという。
税務調査妨害に象徴される不法行為や違法行為を根拠にして、創価学会の宗教法人としての適格性を国民が知ってしまえば、ひとたまりもない。
これを要するに、安倍政権のさじ加減ひとつで、教団の存亡にかかわる危機的事態が起きる。
それを回避するために最後は安倍政権にすり寄るしかないのだ、と大山氏は喝破している。
こう考えると誰も安倍首相の改憲の野望を阻止できない事がわかる。
だから、何としてでも新党憲法9条を実現しなければいけない。
憲法9条こそ誰にも負けない最強の正義であるからだ。
その名前を冠して、本気で憲法9条を日本の国是とすると訴える者だけが、いかなる恫喝も通用しない安倍首相の真の強敵となるのである(了)
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